"毎日届く「パパを来させないで」" 第10話
「美咲の顔を度でも見たことあるの?」
美咲がタクシーで夜のに消えてから、がは墓のような静けさに包まれた。
浩司はリビングのソファに崩れ落ちたまま、を抱えてかなかった。
私もまた、玄関のたいタイルのにへたり込み、指先本かせないままだけが過ぎていった。
午半。
私のスマホが、沈黙を切り裂くように震えた。
画面に表示されたのは、実の母の名だった。
震える指で通話ボタンをスワイプし、に当てる。
「……もしもし、お母さん」
『美咲、ちゃんと着いたわよ』
話から聞こえてきた母の声は、氷のようにえ切っていた。
堵の溜息を漏らそうとした私を、母の鋭い言が容赦なく打ちのめした。
『真由美。……あなた達、あの子に体何をしたの?』
「え……?」
『今すぐ説しなさい。歳の子が夜にでタクシーに乗って、リュックつで転がり込んでくるなんて、普通じゃないでしょうが!』
「お母さん、それは……浩司さんとし論になって、美咲がそれに耐えられなくなって……」
私が言い訳をにしかけた瞬、母はりを抑えきれない様子で声を荒らげた。
『論? そんなぬるいものじゃないわよ!』
息を呑んだ。
『美咲が玄関に入ってきたの顔、あなた、見たことあるの?』
話の向こうで、母の荒い息遣いが聞こえる。
『あの子ね、玄関の鍵をけて入ってきた瞬、真っ青な顔で私の顔を伺ったのよ。
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そして靴を揃えながら、なんて言ったとう?
「おばあちゃん、夜遅くにごめんなさい。邪魔にならないように、隅っこにいるから」って……震えながらをげたのよ!』
胸の奥が、ぎゅっと握りつぶされるように痛んだ。
『歳の子がよ? おばあちゃんのに来て、泣きつくでも甘えるでもなく、自分が邪魔者扱いされないように必で嫌を取ろうとしてるの!
着替えをすも刻みに震えていて、私が「喉が渇いたかい」って聞いただけで、ビクッと肩をねさせて「ってない?」って聞き返してくるのよ!』
「美咲が……?」
『あなた達、夫婦喧嘩のにあの子を置いて、どれだけ顔を伺わせてきたの!?
子どもを具にして、互いの腹の探りいに巻き込んでいたんじゃないでしょうね!』
母の号が、スピーカー越しに私の鼓膜を震わせた。
反論の言葉など、文字も見つからなかった。
図だった。
夫に怯え、妻を疑い、互いに「子どものため」という免罪符を振りかざしながら、私たちは美咲の繊細な神経をすり減らし続けていたのだ。
『今夜はもう美咲を寝かせたわ。……の朝、で来なさい。浩司さんは絶対に連れてくるんじゃないよ』
ツーツーという無質な切断音が響いた。
暗い廊で、私はスマホを握りしめたまま、声を殺して泣いた。
翌朝、私はパート先に体調良の連絡を入れ、浩司が起きしてくるにをた。
駅までのを歩きながら、たい朝の空気を吸い込んでも、胸のつかえはしも取れなかった。
に揺られ、実のある隣町の駅にりつ。
見慣れた商を抜け、母がで暮らす古い造軒へと向かった。
呼び鈴を鳴らそうとして、私は玄関の引き戸がわずかにいていることに気づいた。
から、コトコトと微かな物音が漏れ聞こえていた。