"金曜日の証言まであと三日" 第5話
曜の請
翌の午、私のスマートフォンの呼びし音が鳴った。
画面に表示されたのは「鹿児島県警」の文字だった。
「成瀬織さんのお話でよろしいでしょうか。央警察署・交通捜査課の者ですが」
事務で、切のを排した男の声だった。私は背筋を伸ばし、喉を湿らせてから「はい」と答えた。
「先発しました交通事故、いわゆる過失運転致傷および救護義務違反事件について、参考としてしお話を伺いたいことがございまして」
「……浦正さんの件でしょうか」
「はい。成瀬さんは、被疑者である浦正さんの奥様のご友ですね」
「そうです」
「現、浦正本の供述および当の履歴を確認しております。つきましては、事故当の夜頃から頃にかけての、浦正の取りについて裏付け捜査をっておりまして。成瀬さんのご自宅周辺の基局に、同刻、本の携帯話の波が補されていることが判いたしました」
警察の包囲網は、私がっているよりも遥かに迅速に、かつ精密に敷かれていた。
分まで私の部にいたのだから、私のマンション周辺の基局に波が掴まれているのは当然だった。
「当夜、浦正が成瀬さんのマンションを訪問していたという事実があるかどうか、正式にお話を伺いたいのです」
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警察官の言葉に、昨の理恵の取り乱した顔と、正さんの々とした座が脳裏をよぎった。
『言わないで』
『君自ののために、頼んでいるんだ』
の鳴のような言葉が、私の喉を塞ごうとする。
「あの……話ではお答えできないのでしょうか」
「ええ。な過失が疑われる事件ですので、正式な参考調を作成する必があります。直接お会いして、詳細なタイムラインを確認させていただきたい」
警察官の帳をめくる乾いた音が聞こえた。
「、曜の午。央警察署の交通捜査課までお越しいただけますでしょうか」
「曜……」
今は曜だ。
残り、。実質には余りしかない。
「都が悪ければ、こちらからご自宅か職に伺っても結構ですが」
「いえ、きます」
私は反射に答えていた。職や自宅に警察官が乗り込んできたら、それこそ言い逃れのできない騒ぎになる。
「曜の朝ですね。伺います」
「では、分証とご印鑑をお持ちください。失礼します」
通話が切れると、部のに苦しい静寂が戻ってきた。
曜の午。
それが、私に突きつけられたタイムリミットだった。
取調のパイプ子に座り、警察官から「事故当夜、浦正はあなたの部にいましたか」と問われた、私はどう答えるのか。
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「はい、いました」と答えれば、正さんの自首は嘘であることがのに晒される。警察は次に「では、なぜ夫は妻の代わりになったのか」を徹底に洗うだろう。理恵が事故を起こしたこと、そして理恵があの所にいた理由まで、すべてが暴かれる。
正さんの言った通り、理恵の庭は完全に崩壊する。
だが、もし「いいえ、来ていません」と嘘をついたら?
私は来の友の夫を、無実の罪で刑務所へと送り込む共犯者になる。そして、自分がついた偽証の圧に怯えながらきていくことになるのだ。
どちらを選んでも、獄だった。
私はダイニングテーブルに置かれた、つのマグカップを見つめた。
あの、正さんがをつけたカップは、洗って器棚に戻してある。けれど、彼が座っていたリビングのソファの沈み込みや、彼が漂わせていた煙の残りは、まだ部の隅に澱のように残っている気がした。
理恵はなぜ、あの所にいたのか。
事故現は、鹿児島部の旧港にい、うらぶれた宅だと聞いている。理恵たちの自宅からも、私のマンションからも、で分以かかる所だ。隣に夜営業のスーパーなどない、古びた造アパートと倉庫が密集する。
術で体の自由も利かない理恵が、真夜にそこへかなければならなかった理由。
そして、正さんがにした吉な言葉。
『君がに捨てたもの』
私はスマートフォンをに取り、検索エンジンのマップをいた。
警察から伝え聞いた事故現の交差点の所を、指先で打ち込む。画面に表示された航空写真の縮尺を広げていくにつれ、私の指先が微かに震え始めた。
その交差点から、徒歩でわずか分の所。
錆びついた倉庫とコインランドリーに挟まれたの奥に、見覚えのある、階建ての造アパートが写しされていた。
、私が切れを叩きつけ、度と顔を見せるなと鳴りつけて鍵を投げ捨てた、あの男のんでいた所だった。
「……まさか」
私の唇から、かすれた呟きがこぼれ落ちた。
曜の朝まで、あと。
私は警察にくに、どうしても確かめなければならない所ができてしまった。