"誰も売るなと育てた父" 第6話
ファミレスのめた
夜のファミリーレストランは、客の姿もまばらで、井の埋め込みスピーカーから無質なインストゥルメンタルがさく流れていた。
ドリンクバーの械が折、炭酸を抜くようない音をてる。
窓際のボックス席に座っていたのは、くなった髪を乱雑に撫でつけ、首元がよれたウインドブレーカーを着た柄な男だった。野修、歳。運送会社の営業所で配係をしていると、事に届いたプロフィールにかれていた。
テーブルのには、氷が完全に溶け切ったグラスがつ置かれていた。
「来てくれたか」
野は乾いた唇を舐め、向かいに座った私を値踏みするように見つめた。
「単刀直入に聞きます」
私は名刺もさず、席に着くなりを乗りした。
「父は、川さんが学を辞めたのは母親の夜逃げが原因で、自分には責任がないと言いました。父は嘘をついているんですか」
「嘘はついてないよ」
野は煙の吸い殻が入った携帯皿をもてあそびながら、淡に言った。
「川の母親がサラに追われて、の末にで夜逃げしたのは事実だ。学側もそう処理した。が川を退学に追い込んだわけじゃない」
「だったら――」
「だがな、健太さん。問題はそこじゃないんだよ」
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野の目が、射るように細くなった。
「あの教ので、最のひと、川がどんな目に遭わされていたか。そして、その引きを誰が引いたかだ」
野はグラスのに指を触れ、氷のない面を揺らした。
「の学期、クラスの頂点にいたのは黒田っていう、私病院の理事の息子だった。取り巻きが、いて、教の空気を完全に支配していた。はの頃から、その黒田グループの格好の標だった。履きに画鋲を入れられたり、机にゴミを突っ込まれたりな」
「父から聞いています」
「ああ、そこまでは事実だ。だがの、向きが変わったんだよ。黒田が飽きたのか、それともが必に取り入ろうとしたのか……は黒田たちのパシリを引き受けるようになった。ジュースを買いにったり、黒田の宿題のノートを写させたりしてな。しずつ、黒田たちの輪の端っこに『座ることを許される』ようになったんだ」
胸の奥に、じわりとたい嫌悪が広がっていく。
「は必だったよ。あいつらに殴られず、笑われない側に回るために、必で尻尾を振っていた。……そして、あのが来た」
野が声を段落とした。
「の終わり、昼休みの教だ。黒田たちが退屈しのぎに、誰をからかうか品定めしていた。標になったのが川だった。
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あいつのブレザーの肘に継ぎ当てがあるのを見つけて、黒田が『おい、乞のを着て学に来るなよ』って笑いものにしたんだ。いつもなら、は掃除当番仲として、教の隅でを向いて耐えていたはずだった」
「父は……何をしたんですか」
「黒田たちの輪のにいたが、突然、きな声で笑いしたんだよ」
野の言葉が、私の鼓膜を容赦なく切り裂いた。
「そして言ったんだ。『黒田、あいつのどころじゃないぜ。あいつの、今末に夜逃げするんだ。母親がヤミに追われてて、もうすぐアパートを追いされるって、俺に泣きついてきたんだよ』ってな」
内のBGMが、瞬途切れたように錯覚した。
「……父が、そんなことを?」
「のから、はっきりとた言葉だ。川が誰にもられたくなくて、世界でだけに打ちけていた番痛い秘密を、は黒田たちへの『産』として差ししたんだよ。自分を仲に入れてもらうための、入券としてな」