"面談記録にあった前妻の名前" 第14話
渡された権利
翌朝、曜。
の澄んだ青空が広がっていた。
ダイニングテーブルについた健司は、腫れぼったい目をした私と遥を見て、気まずそうに目を逸らした。
昨夜の諍いを引きずっているのか、自分からをこうとはしない。
遥は、静かに朝のトーストをに運んでいた。
その表には、まだ疲労のが濃く残っていたが、昨のような張った怯えは消えていた。
どこか、嵐が過ぎったの静寂のような、澄んだがその瞳に宿っていた。
事が終わると、遥は制のブレザーのポケットから、枚の封筒を取りした。
の枠線が印刷された、あの枚の入券が入った封筒だった。
健司がそれを見て、を乗りした。
「ああ、遥。それ、学に提すると緒にすんだろ? 今が締め切りだったはずだ。俺が勤途に職員に届けておいてやるよ」
健司は当然のようにを伸ばした。
自分の決めた「父と継母」という結論を、そのまま実に移そうとしているのだ。
「触らないで」
私の鋭い声に、健司のがピタリと空で止まった。
「美咲、お、また朝から揉める気か? もうがないんだぞ」
「がないのは関係ないわ」
私はちがり、遥のに歩み寄った。
子の横に膝をつき、彼女の目線と同じさまで線をげる。
「遥」
遥が私を見つめ返した。
広告
「これは、あなたのの集成の式よ。あなたが泣きながら、悩みながら、それでも懸命勉して、部活をやって、ここまで育ってきた証の所なの」
私は彼女の元にある封筒を指先で優しく押し戻した。
「誰に来てほしいか。誰に、番最初に見届けてほしいか。の顔を窺うんじゃなくて、お父さんの嫌を取るためでもなくて、あなたが本当に望むに、こので渡しなさい」
「美咲……!」
健司が背で声を荒らげたが、私は振り返りもしなかった。
「あなたには、それを選ぶ権利がある。誰かを傷つけるんじゃないかって、怖がらなくていい。遥が選んだ答えなら、私は何があっても受け止めるから」
遥は、テーブルのの封筒を見つめた。
そして、ゆっくりと自分の両で、その封筒を包み込むように握りしめた。
「……うん」
力い、けれど透き通った声だった。
「自分で決める。……私が、本当に来てほしいに渡す」
健司が呆然とち尽くす、遥はちがり、エナメルバッグを肩にかけた。
「ってきます」
玄関へ向かう遥の取りは、昨までのように竦んではいなかった。
扉のでち止まることもなく、彼女はまっすぐに、朝のが差し込む通学へと歩みしていった。
たちが都よく押し付けてきた者択の檻を、彼女自ので踏み破るための、カウントダウンが始まっていた。