"結婚式を欠席した家族は、私の夫をただの現場作業員だと思っていた" 第13話
……その裕子を『普通』と見し、踏み台にし、傷つけ続けてきたあなたたちに、『』を名乗る資格などありません」
父は息を呑み、言葉を失った。
「拓也君の内定が取り消されたのは、私の圧力ではありません。全を軽し、恩を裏切った彼自のさが招いた結果です。……これ以、裕子をあなたたちの見栄の具にすることは許しません」
彦は私のをしっかりと握り締めた。 私はバッグから、切に持っていた通のを取りした。結婚式当に母へ読むはずだった、謝のだった。 私はそのを、テーブルのの母のに置いた。
「お母さん。私、ずっと『お姉ちゃんなんだから』って言葉に縛られてきてきた。でもね、彦さんと会って、彦さんのお母さんに抱きしめてもらって、ようやく分かったの。族っていうのは、誰かを犠牲にして成りつものじゃない。困ったに、隣に寄り添ってくれるのことを言うのよ」
母の瞳から、粒の涙がポロポロと畳にこぼれ落ちた。
「このは、もう読まない。……お父さん、お母さん、今まで育ててくれてありがとう。さようなら」
私は々と度だけをげ、彦とともにちがった。 背から「裕子! 待ちなさい、裕子!」とすがりつく母の泣き叫ぶ声と、「勘当だ! 度と敷居を跨ぐな!」と虚勢を張る父の声が聞こえたが、私は度も振り返らなかった。
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親族会議から数ヶが過ぎ、季節は巡って柔らかなのがを包み込んでいた。
あのを境に、森の崩壊は決定なものとなった。 親戚から完全に孤した父と母は、親族の冠婚葬祭や正の集まりから切の連絡を絶たれた。料亭『松の』での豪遊や拓也のスーツ代で散財した30万円に加え、親戚たちから集めていた就職祝い25万円をすべて全額返還させられたことで、経済にもきな打撃を受けた。
何より父を打ちのめしたのは、所や職での世体だった。 を叩いて吹聴していた自話がすべて虚飾であったことが呈し、定退職の再雇用先でも孤無援となった父は、すっかり老け込み、でもカーテンを閉め切った暗い部で酒を煽る々を送っているという。
母もまた、所のスーパーや町内会の集まりに顔をせなくなった。「あそこのは、娘の結婚式をボイコットして息子に嘘をつかせた」という噂は瞬くに隣へ広まり、あれほど誇りにしていた所付きいの輪から完全に弾きばされたのだ。
そして、拓也は——。
3に学院を修したものの、当然ながら正社員としての就職先は見つからなかった。映都建設での内定取り消しの経緯は、業界内の事ネットワークを通じて面で共されており、建設・産業界の採用選考は類審査の段階ですべて弾かれた。
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4、拓也はスーツを脱ぎ捨て、県にある方の職業訓練の施管理コースへと入学した。 初任や本社のエリートコースなどという甘いはすべて打ち砕かれ、ヘルメットを被り、砂りのので測量器を担ぎ、にまみれる々が始まった。
あるの夕方、藤鳶の事務所に、通の分い封が届いた。 差は、森拓也。便箋3枚にびっしりとかれていたのは、自らの傲さに対する痛切な悔悟と、現で実際に肉体労働を経験して初めて理解した、職たちへのからの敬だった。
『親方がおっしゃった「10秒あればは落ちる」という言葉の本当のさを、今、現のので毎痛しています。俺が馬鹿にしていた作業着の汗が、どれほどいものだったのか。からやり直します。いつかの技術者として、親方の現に胸を張って挨拶にけるまで、絶対に逃げさずにをい回ります』
藤親方は老鏡をしてを読み終えると、煙の煙をふうと井へ吐きし、何も言わずにそのをあの黒い全管理ファイルの最のページへと静かに綴じ込んだという。
4の終わりの曜。抜けるような青空の、私は作りのお弁当箱を呂敷に包み、湾岸エリアの規模再発現を訪れていた。