"結婚式を欠席した家族は、私の夫をただの現場作業員だと思っていた" 第11話
2の1114、森拓也の自宅へ、簡易留で『内定取り消し通』が送達された。
1122、曜の朝。 初のたいが吹き抜ける郊の田園帯に、藤鳶の資材置はあった。
刺鉄線のフェンスに囲まれた広な敷には、用の単管パイプや踏板、クランプがミリ単位の狂いもなく然と積みげられていた。錆びた資材は本もなく、具を命として扱う職たちの誇りが隅々にまでき届いている。
敷の奥につプレハブ事務所のに、1台のタクシーがまった。 りてきたのは、拓也だった。 12万円のオーダーメイドスーツはと埃で汚れ、ネクタイは曲がり、目のには濃い隈が刻まれていた。わずか2週で頬はこけ、かつて料亭で杯を掲げていた傲な面は見るもなかった。内定取り消し通を受け取った、拓也は精神に追い詰められ、藤親方に直接謝罪したいと泣きついてきたのだ。
事務所のには、紺の作業着を着た彦と、私がっていた。 拓也は私たちを見つけると、ふらふらとをもつれさせながら駆け寄り、砂利のに両膝をついて額を面に擦りつけた。
「姉ちゃん……かず彦さん……本当にすみませんでした……! 俺が全部悪かったんです……! どうか映に利いてください……! このままじゃ俺、きていけない……!」
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彦はややかな目で、元にいつくばる義弟を見ろした。
「拓也君、顔をげろ。俺に謝っても何も変わらない。おがをげるべき相は、俺じゃない」
ギィ、とプレハブの引き戸がき、分いファイルを抱えた藤親方がてきた。の作業着に腰具をげたその姿に、拓也は息を呑み、怯えたようにずさった。
「820以来だな、森」
親方のく響く声に、拓也は震えがった。親方は元のファイルをめくり、1枚のきの複写伝票を取りした。
「これは、うちの会社で保管している全管理誌の控えだ。あのの午1040分、おがすりを乗り越えた瞬、俺がおの腕を掴んで引き戻した。おは『腕にアザができた、パワハラだ』と喚いたそうだな」
「そ、それは……」
「あのすりのはな、まだ防護ネットを張るの剥きしの空だったんだよ。あと10センチが滑ってたら、おは5階からの鉄骨のに真っ逆さまだった。のなんてな、15メートルのさから落ちりゃスイカみたいに破裂するんだ。……俺の加減ひとつで、おの命はあの世にってたんだぞ」
親方の拳が、ギリギリと音をてて握りしめられた。
「俺は48この仕事をしてきて、から落ちてんだ仲を2見てきた。そのうちの1はな……彦の親父さんだった」
私は息を呑み、彦の横顔を見げた。
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彦は唇を固く結び、静かに目を伏せていた。
「彦が16のだ。全帯のフックの掛け替えを瞬怠っただけで、現から真っ逆さまに逝っちまった。……俺は親父さんの葬式の、線の煙ので誓ったんだ。俺の現からは、絶対にをもさねえ。どんなに嫌われようが、どんなにまれようが、危ねえ真似をした奴はぶん殴ってでも引き戻すってな」
親方の目から、い涙が筋こぼれ落ちた。
「おがんだら、おの親が泣く。おを送りした姉ちゃんが苦しむ。俺はそれを止めたかっただけだ。……それをおは、自分の見栄と保のために、俺がフックをせと言ったと嘘をついた。おのお父は、会社に『品な職の暴力を処罰しろ』と脅迫文を送りつけてきた。……俺の48の現を、おらはで踏みにじったんだ」
「うわああああっ……!」
拓也は両で顔を覆い、砂利に額を打ち付けて号泣した。
「すみませんでした……! すみませんでした……! 俺、自分が何をしたのか、全然分かってなかった……! 殺されるのが怖くて、鳴られたのが恥ずかしくて……! 本当にごめんなさい……!」
親方は拓也のにゆっくりと屈み込み、節くれだったきなで、拓也の震える肩を力く掴んだ。
「泣いて済むなら、警察も全帯もいらねえんだ。……だがな、森。おがどんなクズだろうと、あのおを引き戻したことを、俺は度も悔しちゃいねえ。
おが今、きてここで泣いてる。