"結婚式を欠席した家族は、私の夫をただの現場作業員だと思っていた" 第7話
の鉄パイプの継ぎ目に貼られた、黄いラミネートパウチの全標識。そこに黒マジックで太々とかれた文字を拡した瞬、私は息を呑んだ。
『架設責任者:藤鳶 代表・藤源』 『施元請:映都建設 港町タワーレジデンス築事』
「……嘘でしょ……!?」
拓也が「のクソジジイ」と罵り、鳴られたと逆みしていた現の親方。 それはならぬ、今この結婚式で主賓としてち、彦を育てげ、命綱の尊さを涙ながらに語ってくれた、あの藤源親方そのだったのだ。
それだけではなかった。 炎している投稿のリプライ欄に、映都建設の社員を名乗る内部アカウントからの告発文が投されていた。そこには、背筋が凍りつくような恐るべき事実が暴されていた。
『この内定者、現実習で規則違反をやらかしただけじゃないぞ。注した請けの親方に逆みして、本社に「親方からフックをしていいと指示された」と虚偽の始末を提した。そのせいで親方は責任を問われて現をされ、さらにこの内定者の父親が会社に「職の暴力を謝罪しろ」と脅迫まがいの怪文まで送りつけてきた。だが先週、現の監カメラの映像との職たちの証言から、全て内定者側の完全な狂言だったことが内部調査で確定したらしい——』
「あいつ……何をしてるの……!?」
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私のからスマートフォンが滑り落ち、に鈍い音をてて転がった。 拓也はただ結婚式をサボって祝杯をあげていたのではない。 命を救ってくれた恩を嘘で貶め、を塗り、その事実を隠蔽したまま、彦がグループの頂点に君臨する映都建設の入社式へ涼しい顔で席しようとしていたのだ。
ガチャリと控のドアがき、配そうな顔をした彦が入ってきた。 に落ちたスマホと、青ざめて刻みに震える私の姿を見て、彦は静かに眉をひそめた。
「裕子、体どうしたんだ」
私は震える唇をき、か細い声で絞りした。
「彦さん……拓也が……拓也が変なことを……」
その、式の廊の向こうから、慌ただしい音とともに藤親方の野太い声がづいてくるのが聞こえた——。
控のいドアがノックされ、隙から顔を覗かせたのは藤親方だった。黒い礼の胸元を正しながら、親方は困惑と微かなりが入り混じった差しで部のを見回した。
「彦、裕子さん、すまねえな。式スタッフに無理を言って通してもらった。……裕子さん、気分でも悪くされたかい?」
「いえ、親方……丈夫です」
私はから拾いげたスマートフォンを握りしめ、必に呼吸をえようとした。しかし、親方の顔を直することができない。このは、休みに私の弟がすりのへを乗りした瞬、その細い腕を渾の力で引き戻し、命を救ってくれたなのだ。
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その恩に対して、弟は「のクソジジイ」と罵声を浴びせ、虚偽の始末で職としての名誉を奪おうとした。さらに父は会社へ脅迫まがいの抗議文を送りつけ、今このも料亭で親方を嘲笑いながら祝杯をあげている。
申し訳なさと羞恥で、元から崩れ落ちそうだった。
「親方、何かあったんですか」
彦が静かににみた。藤親方は老鏡を内ポケットから取りし、ロビーの受付に掲示されていた席次表のコピーに目を落とした。
「……受付の席次表を見てな。婦側の親族欄に並んでいた名が、どうしてもかられなかったんだ。『森拓也』……。彦、おの義理の弟さんの名は、これでってるかい?」
彦は表を変えず、さく頷いた。
「ええ、そうです。……親方のからその名がるということは、現での件ですね」
藤親方はくため息をつき、を掻いた。
「港町のタワーレジデンスの現だ。8の実習初、全帯のフックをして写真を撮っていた実習の坊主がいてな。落ちたら15メートルのコンクリートへ直撃だ。わず鳴りつけて腕を引っ張った。……そしたら、その坊主が『親方からフックをしていいと指示された』と会社に類をしやがった。そのせいで俺は半、現の責任者をされたよ」