みかん小説
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"結婚式を欠席した家族は、私の夫をただの現場作業員だと思っていた" 第4話

と缶コーヒーを1本持って私の会社のくまで駆けつけてくれるような誠実なだった。

あるの終わりの夕暮れ、川沿いの遊歩を並んで歩いていた、私はふと元を緩めて言った。

「私、彦さんといると、自分が『普通の』でいいんだってえるんです。実ではずっと、弟より劣るというで『普通』って言われ続けてきたから……」

彦さんはを止め、夕に照らされた私の目を真っ直ぐに見つめた。

「毎真面目に働いて、自分ので活して、周りのを気遣ってきている。それのどこが普通ですか。胸を張るべき、派なき方ですよ。……これからは、俺が毎そう言ってあげます」

そのの12、いつもの川沿いので、彦さんは作業着のポケットからさなベルベットの箱を取りした。には、控えめだが美しく輝くプラチナの指輪が入っていた。

「普通の俺でよければ、俺と緒にきてくれませんか」

私は涙でが見えなくなる、何度も、何度も頷いた。

結婚を提とした交際が始まって半が過ぎた、翌の初のことだった。 私は彦さんの自宅アパート——とっていたが、訪ねてみるとそこは駅の堅牢な分譲マンションだった——で、夕の肉じゃがを作っていた。

リビングのローテーブルのに、分い沢で印刷された冊子が何気なく置かれていた。

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表には『相ホールディングス グループ統報告』と文字で刻まれている。 何気なくページをめくった私は、巻のグラビアページで完全に氷りついた。

仕てのいい濃紺のスリーピーススーツをに纏い、穏やかだが威厳に満ちた差しで正面を見据える男性の写真。そのに印字された文字を、私は何度も瞬きしながら読み直した。

『代表取締役社 真柴彦』

お玉を持ったまま固まる私の背から、呂がりの彦さんがバスタオルで髪を拭きながらリビングに入ってきた。

「ん? ああ、それ届いてたのか」

「か、彦さん……これ……社っていてあるんだけど……!?」

彦さんはを掻きながら、困ったように眉をげた。

「うん。……まあ、そうなるな」

「そうなるな、じゃないよ! 相ホールディングスって……証プライムの、あの巨建設グループの!? 全国に何社も子会社がある、あの!?」

彦さんは私のからお玉をそっと受け取って鍋に戻すと、苦笑いを浮かべてソファに腰掛けた。

「騙すつもりはなかったんだ。ただ、聞かれなかったから言わなかっただけで……。肩きでを判断するんじゃなく、俺自を見てほしかったんだよ」

彦さんが語ってくれたいちは、像を絶するものだった。 16歳のに父親が急逝し、女つで育ててくれた母親を楽にさせたいで、を卒業してすぐに「藤鳶」

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という請けの鳶組にび込んだという。親方の藤源さんにの組み方から現の規律まで徹底に叩き込まれ、22歳で元請けである相建設へ途採用として引き抜かれた。

そこから施管理、所、支と叩きげで実績を積みね、社からのい指名を受けて、40歳にして持株会社のトップに登り詰めたのだという。

「じゃあ……どうして今でも、あんなだらけの作業着を着て現にってるの?」

私が尋ねると、彦さんの表から笑みが消え、真摯なが宿った。

「建設会社の社が、本社の役員で数字の類だけ見てちゃダメなんだよ。現の職たちが何に苦しみ、どんなの揺れに命の危険をじているか。それを肌でっていなきゃ、全管理なんて語れない。だから俺は、今でも週の半分は作業着を着て、抜き打ちで現を回る。ヘルメットを被ってのを歩くのが、俺の原点なんだ」

私は胸を打たれた。このは、どれほどい位に登り詰めても、現で働く作業員たちへの敬と、の命を守るという責任を片も忘れていないのだ。

「ねえ、彦さん。私の実に挨拶にく、社だってことは言わなくていいの?」

その問いに、彦さんは静かに首を横に振った。

「言わないでくれ。肩きをった途端に態度を変えるような付きいはしたくない。

俺は裕子の両親に、の男として認めてもらいたいんだ。

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