みかん小説
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"結婚式を欠席した家族は、私の夫をただの現場作業員だと思っていた" 第3話

方で、2浪した末に京の名私学へ学した拓也には、都の築マンションの賃、最の、さらには2次におけるアメリカへの1語学留学の費用数百万円が、父の定期預を解約して惜しみなく注ぎ込まれた。

「裕子は普通だから、元ので分よ」 「拓也はがの世だからな、世界へ羽ばたかせなきゃならん」

30歳を過ぎるまで、私はこの残酷な格差の檻ので、息を潜めてきてきたのだった。

の向きが変わったのは、私が32歳を迎えたのことだった。 代からの唯無の親友である菜緒から、休に突然の話がかかってきた。

『裕子、今度の曜、絶対にを空けて。会ってほしいがいるの』

菜緒の夫は、元で事などを請け負う「藤鳶(ごとうとび)」という請け企業で職として働いている。

『うちの旦がお世話になってる親方の、昔のお弟子さんなんだけどね。とにかく誠実で、ものすごく信頼できるなの。建設関係の仕事をしてるんだけど……裕子にぴったりだとうんだよね』

指定されたのは、駅の静かな純喫茶だった。 約束の午3ちょうど、ドアのカウベルがカランと涼やかな音をてた。 入ってきた男の姿を見て、私はわず目を瞬かせた。

紺の分い作業着に、首元には汗拭きのタオル。

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ズボンの膝や全靴の甲には、現のセメントかとしきいがく擦り切れて残っていた。浅黒く焼けした肌、無骨に張りした顎、そしての肉体労働を物語る太い指。

男は私を見つけると、かぶっていた作業用キャップを脱ぎ、々とをげた。

「初めまして。真柴彦と申します。……急なトラブルで現から直接駆けつけることになってしまい、こんな汚い格好で本当に申し訳ありません」

恐縮しきった様子でをげるその姿に、横柄なところは微もなかった。37歳、私より5歳だった。

「いえ、お仕事変なところ、おをいただきありがとうございます。森裕子です」

彦さんはブレンドコーヒーを注文し、角砂糖を2つ入れて静かにかき混ぜた。 仕事の内容を尋ねると、「ええ、建設関係です。あちこちの現を回ることがくてね」とだけく笑った。それ以、会社の規模や自分の具体な役職を語ることはなかった。私もまた、建設業界の仕組みなど詳しくはらなかったため、に現を束ねる職さんなのだろうと解釈した。

話が私の仕事に及んだ、私はいつもの癖で自嘲気に笑ってしまった。

「私は元の品で、総務の事務をしているだけなんです。本当に何の面みもない、普通以の仕事で……。労災の申請を作ったり、現のがいてくれたヒヤリハットの報告を毎エクセルにまとめたりするくらいしか能がなくて」

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すると、彦さんはカップをソーサーに置き、驚くほど真剣な差しで私の顔を見つめた。

「ヒヤリハットの報告を、毎きちんと集計してるんですか?」

「え、あ……はい。最初は『いたらられるんじゃないか』って現のに嫌がられたんですけど、これは誰かを罰するためのじゃなくて、次に同じ所で怪をしないための命綱なんですって粘りく説したら、しずついてもらえるようになって……」

彦さんはきく何度も頷いた。その瞳には、い敬とが宿っていた。

「それは、本当に素らしい仕事ですよ。現のはね、々の作業に追われると、どうしても危険に対する覚が麻痺してくる。それを類の向こうから必に守り止めようとしてくれるがいるから、作業員は無事にに帰れるんだ。……裕子さんは、の命を支える派な仕事をされている」

胸の奥が、カッとくなった。 実では、父からも母からも「のっ端事務」「誰にでもできる普通の仕事」と吐き捨てられてきた私の13が、目のの作業着の男性によって、まれて初めて全肯定された瞬だった。

それから、私たちはに2度ほど会うようになった。 彦さんは忙を極めるだった。急な方張や夜事のちいでデートが延期になることもあったが、約束を違えるは必ず事に丁寧な話をくれ、翌朝には「昨は本当にすまなかった」

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