"「貧乏神」と追い出された私、実家に帰ったら元夫一家が慌て始めました" 第4話
どうせまた、臭い田舎料理なんでしょ」 義母は調理の鍋に、見用の皿も使わず、持っていた菜箸をいきなり突き刺した。 そして、煮崩れかけた参を切れに運ぶと、ペッとげさにシンクへ吐き捨てた。
「ペッ! まずっ! 何これ、砂糖がりないんじゃないの? こんな豚の餌みたいなもの、うちの蓮にべさせる気!? 作り直しなさい!」
「お義母さん、まだ煮込んでいる途です! 付けもこれから調えるところで……」
「言い訳しないの! いものはいのよ!」
そう叫ぶや否や、義母は智美の制止を振り切り、煮え滾る肉じゃがの鍋の両を掴むと、シンクのへをドバドバと気にぶちまけたのだ。
ジュウウウッ――! 激しい蒸気と、び散る煮汁。 シンクの底、油汚れの排溝のに、無残に散らばった乱切りの参、崩れたじゃがいも、そして飴になりかけた玉ねぎ。
「キャッハハ! あーあ、もったいないけど仕方ないわね! ゴミの気はしっかり切って捨てなさいよ、臭くなるから! お料理のやり直しを伝ってあげる私って、本当に優しいお母さんでしょ?」
笑いしながらリビングへ戻っていく義母の背を、智美はち尽くしたまま見つめていた。 界が、真っ赤に染まっていく。
排溝のゴミ受けに引っかかっている、鮮やかなオレンジの参。
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それは、数、実の母が「智美、仕事忙しいだろうけど、体に気をつけてね」と、きのを添えてクール便で送ってくれた、実の畑の無農薬参だった。 母が腰を痛めながらをむしり、父が汗を流して耕し、祖父が塩にかけて育てた、命の結晶。
それが今、汚れたシンクので、ゴミとして扱われている。
(……あ、私……)
脳の奥で、張り詰めていた鋼のワイヤーが、パチンと音をてて断ち切れた。
(もう、無理だ)
涙すらなかった。 ただ、自分ので何かが完全にに、そして同に、酷なまでの覚が訪れていた。 こんな腐りきったたちのために、自分を殺し、族を侮辱され、耐え続けるなど、この世のどこにもない。
そのの夜、。 パチンコで負けたらしく、嫌そうに帰宅した蓮が、リビングのソファにドカリと腰をろした。 義母はすでに「智美さんが夕飯を焦がして台無しにしたから、蓮の夜に級寿司のを取ってあげたのよ」と、の桶を広げて舌鼓を打っていた。
智美はのにみた。 エプロンをし、背筋を真っ直ぐに伸ばして、静かにをいた。
「蓮さん。お義母さん。……私と、婚してください」
テレビのバラエティ番組の笑い声だけが響く部で、のきがピタリと止まった。 蓮はに含んだウニの軍艦巻きをみ込むと、信じられないものを見るように智美を見げ、やがて――プッと噴きした。
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「は? 婚? ……プッ、アハハハ! お、マジで言ってんの?」
義母も箸を置き、品に元を歪めてゲラゲラと笑いした。 「あらあ! 自分から言いすなんて、の程をったのかしらねえ! いつまでうちに寄するつもりかとってたのよ、この貧乏神が!」
「ちょっと、母さん、貧乏神はだろ」 蓮がニヤニヤしながらを挟む。 「まあでも、正直俺も限界だったわ。いつまでこのに居座る気なんだろうなってずっとってたし。母さんは優しすぎるからさ、おみたいな掃除も料理もまともにできない無能を甘やかして付けがらせたんだよ」
蓮はちがり、智美の先に差し指を突きつけた。
「今すぐてけよ、役たずw おみたいな貧民の娘、こっちから願いげだ! 慰謝料も財産分与も円もさねえからな! おの実の軽トラ呼んで、今すぐボロ雑巾みたいに引き取ってもらえ!」
「……わかりました」
智美は取り乱すことも、泣き叫ぶこともなかった。 ただ度、く、たく礼すると、踵を返して寝へと向かった。 背から「ギャハハ! 素直にていくってよ!」「は級焼肉で祝杯ね!」と卑た歓声が追いかけてくる。
寝に入り、鍵をかける。 智美はクローゼットからスーツケースを引きずりし、自分のとの回り品をく詰め始めた。 そして、震える指でスマートフォンの画面を操作し、実の母へ発信した。