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"寝室にカメラを隠した夫と1億8000万円の遺産" 第20話

の結婚活が、最は数枚のたいの束になって終わったのだ。

鳴りいや涙の謝罪ではなく、然とした事実と数字による決着だった。

結婚当初、私たちは毎晩のように計簿を緒に見つめ、数字をわせて笑いっていた。

『ここ、もうし削れるね』

『じゃあその分で温泉旅にこう』

そうやって未来の計画をてていたあの頃の正斗は、確かにしていたはずだ。

それがいつから、自分の失敗を隠すために妻を狂わせようとする酷なに変わってしまったのか。

私には分からないし、もう理解しようともわない。

正斗は、億千万円というそのものが欲しかっただけではない。

自分の借という現実から目を背け、私の財産を自分の権限で自由にかせるという支配力が欲しかったのだ。

しかしその歪んだ欲望と悪の結果、彼は最も切にしていた自分の保すら叶わず全てを失った。

法な決着がつき、私はしく借りたマンションでの活を本格に始めた。

正斗の借取りが来ることもなく、義母からの勝な話に怯えることもない。

全な所だ。

しかし、環境が変わればすぐにが回復するほど、の記憶や覚は単純にはできていなかった。

しい部で迎えた最初の夜。

私はさな製ベッドに横になり、部の気を消した。

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静寂と暗が広がると、すぐに臓が嫌な音をてて鐘のように打ち始めた。

分も経たないうちに私はね起き、スマートフォンのライトをつけてベッドのを覗き込んだ。

何もない。

あるのは、真しいフローリングのとしの埃だけだ。

私はく息を吐きし、もう度ベッドに横になった。

しかし分にはまた同じが襲ってきて、いつくばってベッドのを覗き込んでしまう。

何もないのに。自分で自分がおかしくなりそうだったが、どうしても笑うことはできなかった。

では全だと分かっていても、過ごした寝で監されていたという恐怖は体にく刻み込まれていた。

私は療内科を受診し、理士のカウンセリングを受けることにした。

「確認したくなるのは、決して議ではありませんよ」

理士の先は私のを否定せずに、穏やかな声で言ってくれた。

「いつまでこんなことを繰り返すんでしょうか?」

「いつまで治さなきゃいけないと決めなくていいです。ご自分のペースで丈夫ですから」

その言葉に救われ、私は焦ることをやめた。

最初のうちは晩に何度もベッドのを確認していたが、しずつその回数は減っていった。

回になり、やがて週に回になり、確認せずに眠れる夜がしずつ増えていった。

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会社では相変わらず複雑な数字と向きう々が続いていた。

会社は私にとってただの収入源ではなく、自分の能力を客観に証してくれる切な所になっていた。

私が毎処理している数億円の売データは、私の判断が正常であることを無言で肯定してくれる。

あるの午。

部がしい企画の予算案を持って、私の席へ相談に来た。

「島課。このつの案のうち、どちらでめるべきか判断をお願いします」

以の私なら、正斗に刷り込まれた恐怖から決断を先延ばしにしていただろう。

でも今の私は、部が提した資料にしっかりと目を通し、顔をげた。

「私はこううけれど、あなたはどうう?」

「コスト面を考えると、こちらのA案の方が確実だといます」

理由は部が理然と説するのを聞き、私は迷うことなく頷いた。

「じゃあ、それでめよう」

「わかりました。ありがとうございます」

部が席に戻っていく背を見ながら、私は自分のに確かな芯が戻ってきているのをじた。

帰り。

駅へ向かう混みのを歩きながら、私は正斗の言葉をいしていた。

『最疲れてる』

『丈夫。俺に任せたら』

『忘れてない?』

彼は私に直接「おは判断できないだ」とは言わなかった。

優しい言葉の皮を被せて、もっと巧妙に、もっとく私の自己肯定を削り取っていったのだ。

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