"寝室にカメラを隠した夫と1億8000万円の遺産" 第19話
それなのに、彼女は痛な声で話をかけてきたのだ。
「何の用ですか?」
私はを抑え、できるだけたい声で答えた。
『あなたのを売却するように弁護士に言ったそうね』
義母の声は、以の願するようなトーンから激しいりに変わっていた。
「正斗のではありません。あのは私と正斗の共財産です。婚に伴う財産分与として、当然の続きをめているだけです」
『あの子は今借の返済で苦しんでるのよ。まで取られたら、あの子はどうやってきていけばいいの?』
「それは彼自の問題です」
私はきっぱりと言い切った。
「私を騙し、私の財産を奪おうとした結果が、今の彼の状況です。私には関係ありません」
『なんて酷な女なの。あなたは族を見捨てるのね』
「族?」
私はわずたい笑い声を漏らした。
「私を監し、狂わせようとしたを族とは呼びません」
『わ、私はそんなつもりじゃ……』
「お義母さん、もう度と私に連絡してこないでください」
私は義母の叫び声を遮り、通話終ボタンを押した。
すぐに着信拒否の設定を確認し、スマートフォンの源を落とした。
胸の奥がしだけざわついたが、以のような恐怖やはじなかった。
彼らはもう、私を傷つけることはできない。
彼らの絶叫は私には届かない、い所での来事に過ぎなかった。
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そのの夕方、私は先の事務所へ向かった。
義母からの話について報告するためだ。
「そうですか。ご主の状況がさらに悪化し、智子さんも静を失っているようですね」
先は私の話を聞き、静かに頷いた。
「を売却するという続きに何か問題がありましたか?」
「いえ、法には全く問題ありません。ただ、ご主がち退きを拒んでいるため、しがかかっているのは事実です」
「彼が何を言おうと、私は譲りません」
「分かっています。私の方で制執の準備もめておきます」
先のい言葉に、私はく謝した。
「レイ奈さん、これで本当に彼らとの関係を断ち切ることができます。あともうしの辛抱です」
「はい、よろしくお願いします」
事務所をて、私はの吹くを歩いた。
義母のりに満ちた声がまだの奥に残っている。
彼女は最まで自分たちが何をしたのか、なぜこんな結果になったのかを理解しようとしなかった。
ただ自分たちの都と保だけを考え、私を責め続けた。
でも私はもう、彼らの言葉に惑わされることはない。
私は私自ので、これからのを歩いていくのだ。
数、先から連絡があり、正斗のの売却とち退きが正式に決定したとらされた。
正斗は最の最まで抵抗したようだが、法な続きのには無力だった。
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彼はついにを失い、数千万円の借と共にどこかへっていったという。
義母の智子さんも息子の転落と共に親族からの援助を打ち切られ、肩の狭い活を送っているとの噂で聞いた。
それが、彼らが選んだの結末だった。
私はそのらせを聞いても、勝利のびや優越はじなかった。
ただ、くい鎖から解き放たれたような、静かな堵だけが胸に広がっていた。
先の事務所のデスクには、数枚の類が然と並べられていた。
婚届はすでに受理されていたが、今は財産分与と債務の切りしに関する最終なを確認するだ。
叔母から相続した約億千万円の資産は、当然ながら私の特財産として完全に守られた。
正斗の言いなりになっていれば、今頃このおは彼の借返済のために消えっていただろう。
夫婦でかけて築いた預や、売却したの代については、法な基準に従って正確に分割された。
そして正斗が個の事業で抱えた数千万円の保証債務は、私には切関係のない、彼単独の負債として記された。
「これでご主との法な関係は、銭面も含めて完全に清算されました」
先が最の類に私の実印を押し終えて言った。
「ありがとうございます。
い、本当にお世話になりました」
類の束を見つめながら、私は静かに息を吐きした。