"寝室にカメラを隠した夫と1億8000万円の遺産" 第6話
「ご主と、おで揉めていましたか?」
私は首を横に振ることしかできなかった。
揉めてなんていない。
私はただ、自分の財産を自分で管理したいと言っていただけなのだ。
それから分ほどして、先が駆けつけてくれた。
彼は警察官と名刺を交換し、簡単に状況の説を受けている。
先はテーブルのの証拠品を瞥すると、静かに私の方へ向き直った。
「レイ奈さん、丈夫ですか?」
私は顔をげ、涙声で訴えた。
「先、私……自分が信じられなくなってきました」
先は私の目を真っ直ぐに見て、力く言った。
「類を見ました。でも、してください」
彼の迷いのない声が、リビングに響いた。
「これだけで、あなたの判断能力が法に失われることは絶対にありません」
私は両をく握りしめ、言葉を絞りした。
「でも、もし私が本当に病気だとわれたら……」
先はし目を細め、静かに答えた。
「誰かが、そういう物語を作ろうとしていた能性はあります」
『物語を作ろうとしていた』
その言葉は、私のを鋭くえぐった。
正斗はただ盗撮して、私を監したかったわけではない。
私が夜に起きて苦しむ姿や、疲れてぼんやりしている姿を記録したかったのだ。
そして私が精神に追い詰められ、もう自分で管理できないと諦めるのを待っていた。
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そのためなら、私がどれほど傷つき壊れていっても構わなかったのだ。
私と緒に計簿を見て笑いっていたあの正斗は、もうどこにもいない。
先が徹な声で宣言した。
「誰がやったにせよ、これはらかな権利侵害です」
先の言葉で、私はようやく顔をげた。
警察が介入したことで、これらの装置や類は公式な記録として残ることになった。
もう正斗に『気のせいだ』『疲れているんだ』とごまかされることはない。
私はく息を吐きし、リビングの計を見げた。
あと数で、正斗は何もらずにこのに帰ってくる。
私のので今まで正斗に向けていた妻としてのが、音をてて崩れ落ちた。
私はもう、彼が作った恐ろしい物語のの無力な妻ではない。
これからは私が、自分のを取り戻すための物語を始めるのだ。
午をし回った頃。
玄関のドアを解錠する音が響いた。
リビングのソファに座っていた私は、その音にビクッと肩を震わせた。
のには、私との警察官、そして先が残っている。
坂本さんは警察に分証を提示して簡単な調を取られた、すでに帰っていた。
「レイ奈、ただいま」
正斗の呑気な声が玄関から聞こえ、靴を脱ぐ音が続く。
しかし、リビングへ続く廊を歩いてきた正斗の音は、途でピタリと止まった。
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玄関先に並んだ見慣れない革靴と、警察官の姿に気づいたのだ。
「何があった?」
正斗の声は先ほどまでのるさを完全に失い、く警戒するような響きに変わっていた。
私はゆっくりとちがり、リビングの入りへ向かった。
警察官の背越しに、正斗の張った顔が見える。
「レイ奈」
彼は私を呼んだが、その線は私のろにいる先や、テーブルのの証拠品袋をせわしなくいていた。
私は彼の目を見据え、く告げた。
「ベッドの」
私がそう言うと、正斗の顔から瞬にして血の気が引いた。
瞬きつせず、彼はまるで幽霊でも見たかのように私を見つめた。
「何があったんだ」
私は静かに言葉を続けた。
「カメラがあったの」
私の言葉が終わるか終わらないかのうちに、正斗はで答えた。
「俺じゃない」
その即答の速さに、私はわず言葉を失った。
私はまだ、誰がつけたとも誰を疑っているとも言っていない。
自分の寝からカメラが見つかったと聞いた夫なら、まず驚き配し、誰が犯か緒に探そうとするはずだ。
それなのに正斗は、真っ先に自分の潔を主張した。
私はややかな声で返した。
「私、あなたがやったって、まだ言ってないよ」
正斗はハッとしたようにを閉じ、気まずそうに線をそらした。
彼は言い訳するようにごもった。
「でも、そういう目で俺を見てるじゃないか」
その言葉を聞いて、私はの奥底がえ切っていくのをじた。