"寝室にカメラを隠した夫と1億8000万円の遺産" 第4話
私の呼吸が、そこでピタリと止まった。
「これ……カメラですか?」
坂本さんは険しい表で頷いた。
「そう見えます」
坂本さんの言葉がい現実を帯びて、私の鼓膜を叩いた。
カメラの横には、音を拾うためのさな集音装置らしきものも伸びている。
さらに線を奥に向けると、複雑な配線が古い携帯端末に繋がれていた。
それだけではない。
端末のすぐ横には、の分からない黒いさな封筒が、テープでしっかりと貼り付けられている。
誰かが図に、この寝を監するための装置を作りげていたのだ。
信じられなかった。
テレビのニュースやドラマのでしか見たことのないようなものが、自分の元にある。
しかも私が番できるはずの自宅の寝に仕掛けられているのだ。
の芯が痺れたようにたくなり、正常な考がしずつ奪われていく。
私は両でを覆い、そのに力なくへたり込んだ。
ここは、私が使ってきた私だけの寝だ。
無防備な姿で着替えをし、正斗に愚痴を聞いてもらい、には声をげて泣いた。
をして苦しい息を吐きながら寝込んだ夜もある。
その全ての活が、この暗いベッドのから覗き込まれていたのだ。
私は震える唇をいた。
「いつからこんなものが……」
私の声はひどく掠れ、自分でも驚くほど震えていた。
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坂本さんは首を横に振った。
「僕には分かりません」
彼は静に答えたが、その線は私を気遣うように揺れていた。
棒が入った形跡はないし、部のが寝でこんな掛かりな作業をするはない。
私は無識に、震えるをその装置へ伸ばした。
こんな気なものを、秒でもくこの部に置いておきたくなかった。
「待ってください」
坂本さんが私の首を掴み、い力で引き止めた。
「してください」
私は抵抗しようとしたが、彼は真剣な目で私を見つめた。
「もし誰かが故につけたなら、僕らが全部すより警察に見てもらった方がいいです」
私は坂本さんの顔を呆然と見つめ返した。
「警察……?」
彼はく頷き、説を続けた。
「触ってしまえば、証拠が台無しになるかもしれませんから」
その言葉を聞いて、私はハッとに返った。
これを私が勝にして捨ててしまったら、誰が何の目で私を監していたのか分からなくなる。
私は伸ばしかけたをゆっくりとろし、太もものでギュッと拳を握りしめた。
数秒の沈黙の。
私は自分のポケットから、スマートフォンを取りした。
これまでは何かトラブルがあれば、番に正斗に連絡してきた。
彼はいつも落ち着いた声で、私のを取り除くような言葉をくれたからだ。
私は正斗の連絡先を表示し、発信ボタンを押そうとした。
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しかし、私の指は空でピタリと止まった。
『ベッドのなんて、そこまでしなくても買い換えればいいだろう』
正斗の言葉が、たいのように私ののに流れ込んできた。
あんなに何度も確認するように言ったのに、正斗は清掃業者を呼ぶことを自然に嫌がった。
今の私は、あの正斗の優しい声こそが恐ろしかった。
まだ何も確証はない。
でもなぜか、先に正斗にらせてはいけないという直が、私ので激しく警報を鳴らしていた。
私はスマートフォンの画面をスクロールし、別の連絡先を探した。
叔母の相続のに担当してくれた、弁護士の番号だ。
もうここは私にとって全で休まる所ではない。
スマートフォンの画面を見つめたまま、私はさく呼吸をした。
そして迷いを振り切るように、弁護士の番号をタップした。
呼びし音が回鳴り、落ち着いた男性の声がに届いた。
「はい。法律事務所です」
私は震える声で名乗った。
「先、ご無汰しております。島レイ奈です」
先の声は、すぐに配そうなトーンに変わった。
「レイ奈さん、どうしましたか? し声が震えているようですが」
私は隣につ坂本さんに線を向けながら、必に声を絞りした。
「寝のベッドのから、カメラみたいなものが見つかったんです」
話の奥で、先が息をむ気配が伝わってきた。