みかん小説
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"寝室にカメラを隠した夫と1億8000万円の遺産" 第1話

夜の。

私はまた暗ので目を覚ました。

臓が嫌な音をてて波打っているのをじる。

額にはたい汗がにじんでいた。

私はゆっくりと寝返りを打ち、隣で眠る夫の姿へ線を向けた。

規則正しい寝息が、静かな部に響いている。

私はズキズキと痛むを両で押さえながら、過の記憶をい返していた。

『最本当に疲れてるよ。俺に任せたら』

私を配する夫の優しい声が、の奥で鮮に響く。

でも、あのの私はまだ何もらなかったのだ。

全で完全なはずのこの寝に、あんな恐ろしいものが隠されているなんて。

私は痛むをかばうように、もう度寝返りを打った。

そのかすかな擦れの音に気づいたのか、隣に寝ている正斗がゆっくりとを起こした。

彼は暗がりので私の方を向き、私の肩にそっとを置いた。

「ごめん。起こしちゃったね」

「いいよ。最本当に疲れてるみたいだね」

財務コンサルの仕事をしている彼の声のトーンは、いつも通り落ち着いていた。

この半ほど、私はまともに朝まで眠れた記憶がない。

最初は正斗が仕事で忙しいせいだと自分に言い聞かせていた。

経理部で管理職を務めている私も、残業が続く期だったからだ。

でも、会社の繁忙期を過ぎても私の眠は治らず、痛まで残るようになっていた。

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結婚してになる私たちは、毎晩のように計簿を緒に見るような夫婦だった。

とも数字にいという共通点があり、ローンや貯の話をするのが楽しかった。

でも、の来事が、しずつ私たちのに流れる空気を変えていた。

私を娘のようにがってくれた叔母がくなり、私が遺産を相続したのだ。

産や融資産など、計で約億千万円になるきな額だった。

相続した当初、正斗は微笑みながら私を見ていた。

『良かったな』

彼はただそれだけを言ってくれていた。

けれど、ほどから、彼はしずつその財産についてしをするようになった。

ある夜、彼は真剣な表で私を見つめてきた。

『相続資産、俺が管理しようか?』

私は彼の目を見返し、静かに首を横に振った。

「丈夫。自分では分かっておきたいから」

私がそう答えると、彼はいつも苦笑いを浮かべて肩をすくめた。

『俺は仕事でやってるんだよ』

私が体調の調を訴えるようになると、彼はその話を別の形で持ちしてくるようになった。

彼は配そうな顔を作り、私のを握りしめる。

『無理するなよ。仕事を減らしてもいいんじゃない。委任状枚あれば、俺が税も契約もやってあげるのに』

その声は優しく、本気で私の体を配しているように聞こえた。

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彼の提案を断るたびに、自分がげのない妻にえてくるのだ。

私は彼の顔から線をし、たい布団を被り直した。

「丈夫。もうししたら眠れそうだから」

私は彼に背を向けて目を閉じた。

しかし、結局朝まで識ははっきりしたままで、眠りにつくことはできなかった。

翌朝。

私はいを引きずるようにして、会社へ向かった。

自分のデスクに座り、パソコンの画面を見つめる。

細かい数字がチカチカと点滅しているように見え、焦点がわない。

部が元の伝票を持って、私の席にづいてきた。

「島課、この仕訳の確認をお願いできますか?」

私は部から伝票を受け取り、目を細めて数字を追った。

数億円の売が関わる数字を、私は毎処理している。

違えば会社の信用に関わるため、昔からこの確認作業には自信があった。

しかし最は、度確認しても本当にっていたかとになるのだ。

私は伝票に印鑑を押した、もう度元に引き寄せた。

数字を指でなぞりながら、慎に確認を続ける。

私はある箇所で指を止め、部の顔を見げた。

「ここ、科目が違っているわ」

部は慌てたように表を引き締め、くをげた。

「すみません」

彼は伝票を受け取ると、りで自分の席に戻っていった。

判断はできているし、違いも見つけられている。

それでも私ののには、自分が違っているかもしれないという疑いが張り付いていた。

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