"優先的に妹さんと" 第3話
タクシーのの沈黙
相談所の雑居ビルをた、私たちは言もを利かなかった。
駅のロータリーで拾った個タクシーの部座席。真紀は窓のに顔を向け、私は反対側のドアに体を寄せて座っていた。
運転が流している午のラジオの交通報だけが、やけに瞭に内に響いている。
、真紀が婚した、実に戻るのを躊躇った姉のために緒に郊の2LDKのマンションを借りたのは私だった。敷の清算をし、引っ越し業者を配し、元夫との荷物の仕分け表を作ったのも全部私だ。「由里がいてくれなかったら、私、今頃どうなっていたかわからない」と、あの真紀は泣きながら私のを握っていたはずだった。
「……何よ、あれ」
く、押し殺したような真紀の呟きが沈黙を破った。
私は窓のの景から線を戻した。
「瀬さんのこと?」
「由里のことよ」
真紀は私を見ようともせず、流れていく並みを睨みつけたまま言った。
「どうしてあんなこと言われなきゃいけないの? 私がまるで、自分で何も決められない子どもみたいに扱われて。あの、私のこと何だとってるのよ」
「瀬さんのやり方は異常だよ。勝にプロフィールき換えるなんて、相談所として完全にアウトだし、曜にでも本部に抗議文を……」
「そういうこと言ってんじゃないの!」
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真紀が弾かれたようにこちらを向いた。その目には涙が溜まっていたが、それはしみというより、激しい屈辱のだった。
「どうして由里は、いつもそうやって『正しい処理』の話しかできないの!?」
「何それ……私はお姉ちゃんのためにってるんじゃない」
「私のために? 本当に私のためにってるの?」
真紀の声がずり、運転がバックミラー越しにちらりとこちらを窺うのが分かった。だが真紀は止まらなかった。
「目の相を断った、由里は何て言った? 『あのは男だから将来親の介護を押し付けられるリスクがい、やめた方がいい』って言ったよね? 目のは? 『収はいいけど転職回数がすぎる、絶対に続きしない』って言ったじゃない!」
「だって、それは客観な事実でしょ!? お姉ちゃんがから苦労しないように、リスクを教えてあげただけじゃない! 聞かれたから答えたのよ!」
「聞かれたら、絶対に黒つけなきゃいけないの!?」
真紀の言葉が、鋭利な刃物のように空気を切り裂いた。
「私が聞いたら、由里は絶対に『答え』をすじゃない! 箇条きにして、どっちが正しくてどっちが損か、完璧な理屈を並べて! それを聞かされたら、私がそれ以何を言えるのよ!? 『でも私はあのが好きかも』なんて、言えるわけないじゃない!」
息が止まりそうだった。
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内のエアコンのが、異様にたくじられた。
「……じゃあ、何?」
私のから、乾いた声が漏れた。
「お姉ちゃんは、本当はあのたちの誰かと付きいたかったの? 私が無理やり別れさせたって言いたいの? 自分で決めるのが怖くて私に丸投げしておいて、今さら私のせいにするわけ?」
真紀は唇をく噛み締め、それ以何も言わなくなった。ぎゅっと握りしめられた膝ののが、細かく震えていた。
マンションのエントランスに着くまで、度と会話は交わされなかった。
千百円のメーター料を私が子マネーで支払うも、真紀は先にをりてオートロックの扉をけていた。
エレベーターのの数秒、私たちは互いの顔を見ることすらできなかった。
部に入ると、真紀は靴を脱ぎ捨てるようにして廊を歩き、自分の部のドアを乱暴に閉めた。いラッチの音が、静かな廊に響く。
いつもなら、お見いのはリビングのソファでお茶を淹れ、で買ってきたケーキをべながら「今の、ちょっとスーツの丈がかったよね」「でも産は気が利いてた」と笑いうのが決まりだった。
私は、暗いリビングの真んにち尽くしていた。
テーブルのには、昨夜真紀が「の朝ごはんに」と買っておいた個包装のクロワッサンが、つかずのまま置かれていた。