"結婚式には来ないでと言った親友" 第13話
次の約束
私は部座席から体を引き、ののたいコンクリートのにった。
数歩だけろへがり、スライドドアの部を完全に川さんに譲った。代半ばの男と女が、駐の暗がりので、互いの顔をまともに見つめっている。
川さんのシャツの襟は乱れ、真由の顔は涙とマスカラで無残に汚れていた。華やかな結婚式というには、あまりにも釣りいなだった。
「……真由」
川さんが、く掠れた声で呼んだ。
真由は、膝ので握りしめた袋を見つめた、ゆっくりと顔をげた。その瞳には、先ほどまでの錯乱した怯えはもうなかった。代わりに宿っていたのは、に嫌われることを覚悟したの、ええとした諦めと覚悟だった。
「拓」
真由の唇が、震えながらいた。
「私ね、拓と結婚したい。……それは、嘘じゃないの。緒に暮らしたいし、拓と朝ごはんをべる常が、これからもずっと続いてほしいとってる」
川さんの喉仏が、ごくりといた。
「でもね」
真由は息を吸い込んだ。
「約束できないの」
「……何を?」
「、拓だけをし続けるとか、何があっても絶対に悔しないとか……そういうこと、約束できない。私、もしこの先どうしても緒にいられなくなったら、拓に『嫌だ』って言いたい。『もう別れたい』って言いたい」
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駐の空気が、凍りつくように張り詰めた。
結婚式の直に、嫁が郎に突きつける言葉としては、最悪の部類だった。もなければ、ロマンチックな余韻もない。ただただ吉で、相の誠にを塗るような、掃き届いた儘だ。
「この扉をて、指輪を交換して、みんなにお祝いされたら……もう度と引き返せなくなるのが怖かったの。どんなに苦しくても、して笑い続けるのが私のなんだって、そうやって自分を縛るのが耐えられなかったの」
真由の頬を、涙が筋伝った。
「私ね、結婚しても、いつでもやめられる自分でいたいの。拓を裏切るかもしれない権利を放したくないの。……そんな勝な女、嫌でしょう? が尽きたなら、今ここで捨ててくれていいよ」
真由は、首を垂れた。
審判を待つ罪のように、いベールを揺らしてさく縮こまる。
川さんはかなかった。
彼はいたままのスライドドアの縁にをかけ、じっと真由の頂部を見つめていた。秒、秒、秒。の送がく唸る音だけが、永のようにく響いていた。
やがて、川さんがさく息を吐きした。
彼がをいた、そこからてきたのは、号でも、あるいは「僕が幸せにするから丈夫」というっぽい誓いでもなかった。
「……じゃあさ」
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川さんは、スライドドアのステップに片を置き、真由の目線のさまでしだけ腰を落とした。
「僕にも、つだけ約束してくれよ」
真由が、濡れた睫毛を持ちげて彼を見た。
「もし、いつか嫌になったらさ。……結婚式の当まで黙ってるのだけは、勘弁してくれ」
真由の瞳が、見かれた。
「でさ、夕飯に噌汁んでるでいいから。『ちょっと拓、もう無理かもしれない』って、そのに言ってくれ。そしたら僕も、ちゃんと言い返すから。『いや、まだやり直せるだろ』って説教するか、それとも『そうか、悪かったな』って緒に荷物まとめるか……で話そうよ」
川さんの元が、けなく、けれど温かく歪んだ。
「今みたいにさ、ののに閉じこもられて、何百もで待たせるようなスリルは……僕、臓が持たないよ。もうなんだからさ」
真由の喉から、空気の抜けるような音が漏れた。
それは、泣き声ではなかった。
堪えきれずに吹きした、微かな笑い声だった。
「……うん」
真由は、袋の甲で乱暴に目を擦った。
「当は、もうやめる」
「約束な」
川さんが差ししたを、真由のい袋が、ぎゅっと握り返した。
ぶりに、真由が誰かので「いい子」の仮面を剥ぎ取り、そして相にそれを受け止められた瞬だった。