"結婚式には来ないでと言った親友" 第7話
正しかったはずの嘘
「あの式、結局なくなったのよね」
内で、私がぽつりと呟いた。
真由は顔を覆っていたをゆっくりとろし、充血した目で私を見た。
「の噂で聞いたの。共通のりいから、あの喧嘩の数に式がキャンセルになったって。……私はね、ずっと傲にもこうってた」
私はシートの背もたれにを預け、井の暗がりを見げた。
「ほら見ろ、やっぱり私の言った通りだったじゃないか、って。真由はあの男と結婚しなくて正解だったんだ。私が夜のファミレスであの質問をして、あんたの目を覚まさせてやったからだって……この、のどこかでずっとそうい込んでた」
それが、私の最も醜い部分だった。
友を失った痛みを、私は「自分の正しさ」というっぺらなプライドですり替えて誤魔化してきたのだ。
だが、真由のから漏れたのは、かすれた乾いた笑い声だった。
「……やっぱりね。あんたなら、そうってるだろうとってたよ」
「え?」
「あんたの言葉で目が覚めたから、式をやめたんじゃないよ」
真由の声はく、そして驚くほど静かだった。
「あの夜、あんたに『本当は結婚したくないんでしょ』って言われて……私、悔しくて悔しくて、もできなかった。あんたの言う通りになんて絶対にしてやるもんかって、でも式を挙げて、幸せになって見せつけてやるって、そうってた」
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真由はドレスのレースを指先でなぞった。
「でもね、翌の夜、彼と居の具を見にった……どうしても、息が苦しくなったの。カーテンのつ決めるのにも、彼の好みにわせようとして、笑いながら『何でもいいよ』って言ってる自分がいて。それで……初めて彼に言ったの。『私、本当はあの部にみたくない』って」
私は息を呑んだ。
「彼、すごく驚いてた。るかとった。でも、らなかったよ。ただ、しそうな顔をして『どうして今まで言ってくれなかったの?』って聞かれた。そこから、で、仕事終わりに朝まで話しったの。親のこと、仕事のこと、お互いが本当にどうきたいのか……回も喧嘩したことのなかった私たちが、初めて本音をぶつけって」
真由の瞳に、い記憶のが揺れていた。
「それで、で決めたの。私たちは、お互いをいやるあまりに、本音を言えないままみすぎてしまった。今からそれを埋めるには、とも疲れすぎてるねって。だから、式をやめようって……で納得して、で親にをげにったのよ」
臓の奥を、鈍器で殴られたような衝撃があった。
私は言葉を失った。
私の正論が真由を救ったのではなかった。真由は自分のでち、自分の言葉で相と向きい、痛みを引き受けてあの結婚を終わらせたのだ。
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「あんたが言った言葉はね、梨」
真由が、私をまっすぐに見つめた。その瞳には、の憎悪ではなく、もっとく澄んだ痛みが湛えられていた。
「ただの暴力だったよ」
内の空気が、凍りつくように張り詰めた。
「あんたは『本当はしたくないんでしょ』って言った。あれは質問の形をしてたけど、質問なんかじゃなかった。あんたのでは最初から『真由は嫌がってる』っていう結論が決まってて、私にそれを認めさせようとしていただけ。私の気持ちを聞こうとしたんじゃない。あんたの正しさを押し付けただけよ」
喉の奥がカラカラに乾いていた。反論の言葉は、つも浮かんでこなかった。
調の現で、私はどれほどくの相談者に同じことをしてきただろう。「あなたの言いたいことはわかります」「でも現実はこうでしょう」「この方が理ですよ」――そうやって相の迷いや葛藤を切り捨て、効率な結論へと誘導することを、私は「プロの仕事」だと信じて疑わなかった。
私は、真由の話を聞いていなかったのだ。
ただ、彼女の迷いを「愚かさ」として断罪し、自分が導いてやる側にちたかっただけだった。
「……ごめん」
代半ばになって、これほど無防備な謝罪の言葉をにするとはわなかった。
「私……本当に、あんたの話を聞いてなかった。比べるじゃないのに、から決めつけて……本当に、ごめんなさい」
をげた私の界に、真由のい袋が微かに震えるのが見えた。
沈黙が、くく横たわった。