"十一時八分の「家に着きました」" 第14話
決断までの
理からのメールを受信した曜の夜、私の部は底えがしていた。
をつけても、元から気がいがってくる。
私はローテーブルのにスマートフォンを置き、湯呑みに注いだ湯を啜りながら、じっとその黒い画面を見つめていた。
曜が終われば、曜の正午が来る。
会社の最終回答期限まで、あと半もなかった。
夕方に度だけ、美穂から話があった。
あの定で鳴り散らしていたとは別のような、掠れて力のない声だった。
『……メール、真鍋さんのところにも届きましたよね』
「ええ、届きました」
『あの子……昔からそうでした。学をて就職したも、本当は勤務の希望をしていたんです。実の机の引きしに、英語の参考やパンフレットがぎっしり詰まっていて……私、っていたはずなのに』
美穂は話の向こうで、く息を吐いた。
『母が倒れた、私はあの子の将来を奪いたくなくて「仕事に集しなさい」って言ったつもりでした。でも……のどこかで、自分だけがを被っていることに復讐したかったのかもしれません。「あんたは気楽でいいわよね」って言ったあのの私の顔、今でも覚えています。あんな醜い顔を向けられたら……頼れるわけがありませんよね』
美穂は自分を責めていた。
広告
の頑なな妹の態度は、自分が吐きしたあの言が作りしたものだと、ようやく真正面から受け止めたようだった。
「田辺さん、あなたはどうしたいんですか」
私が尋ねると、美穂はしばらく沈黙し、さくをすすった。
『引き止めたいです。かないでほしい。本にいれば、まだ何かをやり直せるかもしれないから。……でも、そんなの私の儘ですよね。あの子が本当にやりたいことなら、背を押してあげるのが姉の役目なんでしょうか。……私には、もう何も分かりません』
美穂はそう言い残して話を切った。
残された私は、めきった湯の器を両で包み込んだまま、けずにいた。
私ののルールは確だった。
「自分から約束していない責任は、絶対に背負わない」。
元夫との結婚活で骨の髄まで学んだ防本能だ。の荷にを貸せば、最には自分の骨まで軋むことになる。だから私は婚し、話番号を変え、誰ともく交わらない清潔な活をに入れたのだ。
理のだ。彼女がシンガポールにこうが、京に残ろうが、私には何の関係もない。
「頑張ってね」と無難な返信を本送るか、あるいはこれまで通り完全に沈黙を守ればいい。どちらを選んでも、私を責める権利のあるはこの世にもいない。
計の針が、を回った。
分。
分。
分。
臓の鼓が、の奥で嫌なほど速く打ち鳴らされていた。
私は、このを待っていたのだ。
自分は何のリスクも冒さず、何の返事もせず、ただ暗の向こうから届く「誰かが無事にきている」という気配だけを、貪るように受け取っていた。
そんな卑怯な傍観者のまま、この話を終わらせていいのか。
の痛みに指本触れず、綺麗事の境界線の内側に閉じこもって、またあの無菌のような孤独に戻るのか。
分。
スマートフォンが、テーブルのでくねた。