"白紙の投函" 第2話
聞受けの予告
通目のは、斎の机の側、鍵のかかる番い引きしに仕った。
誰の仕業なのか。
織の学代の友か。それとも、親戚の誰かか。のの相談など、族以にるはずがない。いや、織が誰かに愚痴をこぼしていたとしたらどうだ。「親に反対された」と、話を歪めてに話していたとしたら。
織がそんなことをするはずがない、と私は即座に打ち消した。
あの子は素直で、常に周囲への配慮を怠らない娘だ。反抗期らしい反抗期すらなく、私の見にはいつだって真摯にを傾けてきた。
曜の朝、事態はさらに歩、私の常に踏み込んできた。
玄関のドアポストに配達された朝刊。それを取りし、リビングへ持ってこうとしたとき、面のからハラリと枚のが落ちた。
今度は、ポストの側ではない。聞の内側に、丁寧に挟み込まれていたのだ。
『今度は、彼女の代わりに答えるな。』
背筋に、はっきりとした寒気がった。
これは単なる悪戯ではない。配達員が挟んだのか? いや、配達されたのわずかなに、誰かががの玄関先まで歩いてきて、聞のにこれを差し込んだのだ。
私はカーテンの隙から、静まり返った宅のを見ろした。
通勤に向かう会社員が、で角を曲がっていくのが見えるだけだった。
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誰もこちらを見ていない。だが、こののどこかから、確実に私のきを見ている線がある。
ターゲットは織ではない。私だ。
だが、なぜ拓也さんとの結婚を止めようとするのか。
佐々拓也さん。歳。堅の建築設計事務所に勤める、穏やかで当たりのいい青だ。織の紹介で初めて会ったときも、私の話をにメモを取りながら聞き、礼儀正しくをげていた。
だが、私は度も拓也さんの元を本格に調べたことはなかった。織の選んだ相だからと、あえて詮索を控えていたのだ。
私は斎に入り、かつての総務部で付きいのあった民の調査関の男に話をかけた。
「個な相談だ。娘の婚約者の辺を、至急で確認してほしい」
老の蓄えから調査費用をすことに、何の躊躇もなかった。娘を守るためだ。もし相にな隠し事があるのなら、父親である私が暴かなければならない。それが責任というものだ。
調査結果は翌の夕方にた。
犯罪歴なし。銭トラブルなし。実の両親も健で、問題のある借入も見当たらない。
ただつだけ、自然な点があった。
拓也さんは半、業界最と言われる名建築事務所を自己都で退職し、現のしかいないさなアトリエ事務所へ移籍していた。
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収は以の割程度に落ちているはずだった。
そのの夜、織がで実へ顔をした。席次表の最終確認のためだ。
「拓也さん、しい事務所はどうなんだ」
、緑茶をすすりながら、私はできるだけ自然な調で尋ねた。
「の会社はきなビルをたくさん掛けていただろう。急に個事務所に移って、収入面や今の見通しはどう考えているんだい?」
織は湯呑みを持ったを止め、さく息を呑んだように見えた。だが次の瞬には、いつもの柔らかな笑顔を作っていた。
「うん。のはきな組織だったから、自分のやりたい設計がなかなかできなくて。今の事務所のほうが、拓也さんききしてるよ。おのことも、でちゃんと話しって決めたから丈夫」
淀みのない答えだった。
まるで、私がそう尋ねてくることを最初から予測し、完璧な模範解答を用していたかのように。
「そうか。おたちが納得しているなら、お父さんは何も言わないよ」
私は笑ってみせた。だが内の引っかかりは消えなかった。なぜあの子は、私の顔を伺うように瞬だけ線を泳がせたのか。
夜の過ぎ、織を見送るために玄関をた。
娘が角を曲がって見えなくなった、私は庫に止めてある自分のセダンへ何気なく目をやった。
運転席側のフロントガラス。
ワイパーのゴムに、いが挟まれていた。
灯ののでを広げた瞬、私の指先が激しく震えた。
『の午、あなたは彼のの会社へく。』