"十年前消えた妹の耳たぶ" 第13話
分のフォーク
。曜。
世田の空は、昼から鉛のに覆われ、夕方になると底えのするが吹き抜けていた。
私は定で会社をて、駅の『たえ』にち寄り、予約していたい角底の箱を受け取った。箱の横には、赤いリボンが丁寧に結ばれている。
「千代子様、お誕おめでとうございます」
馴染みの員に々とをげられ、私はぎこちなく笑みを返してをた。
実の玄関をけると、すでに汁とみりんの甘辛い匂いがち込めていた。
「お帰り、真紀。寒かったでしょう」
母は、の奈津美の失踪によく着ていた、し派な茜のカーディガンを羽織っていた。髪も入れされ、髪混じりのに丁寧にブラシが当てられている。に度、自分の誕にだけ見せる母の「正装」だった。
居の座卓には、お祝いの準備がっていた。
赤飯、筑煮、昨緒に作ったポテトサラダ、そしてさな鯛の塩焼き。
そして、座卓の方に、組の箸と、のさなデザートフォークが並べられていた。
座の座布団のには、黒い額縁に入った父の遺。
その向かい側。いつも奈津美が座っていたの席には、誰も座っていない座布団と、空の皿が枚。
「お母さん、これ、ケーキ」
私が箱を置くと、母の顔がぱっと華やいだ。
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「まあ、綺麗。今もちゃんとイチゴをたくさん乗せてくれたのねぇ」
母は嬉しそうに箱をけ、純のクリームに艶やかなイチゴが並ぶホールケーキを取りした。
「お父さんにも見せてあげないとね」
仏壇にをわせ、線を本てる。
柱計の振り子が、規則正しくカチカチと音をてていた。
午分。
私たちはでをわせ、「いただきます」と言って箸をかし始めた。
テレビは消していた。居には、箸が皿に当たる微かな音と、母の昔話だけが静かに流れていた。
「奈津美がね、学にがったばかりの頃、誕ケーキのイチゴを全部先につまみいして、お父さんにひどくられたことがあったのよ」
母がポテトサラダに箸を伸ばしながら、目を細めて言った。
「真紀はられなかったのにね。あの子は昔から、というものができなくて……でも、られて泣きした顔がで、お父さん、結局自分のイチゴをあの子のお皿に乗せてあげてたわ」
「……そうだっけ」
「そうよ。お父さん、では厳しく言ってたけど、奈津美のことがくて仕方がなかったのよ」
母はそう言って、奈津美の空の席を見つめた。
「今こそ、帰ってきてくれればいいのにねぇ」
その言葉に、胸が引き裂かれそうになった。
ポケットののスマートフォンを握りしめる。
計の表示は、午分を示していた。
約束のまで、あと分。
固定話は、黒い受話器を伏せたまま、座卓の隅の話台ので沈黙を守っていた。