"十年前消えた妹の耳たぶ" 第11話
私の醜い復讐
「私の庭が壊れれば満なの?」
その問いかけが、私の臓を素で握りつぶすように痛めつけた。
暗ので、仏壇の父の遺がぼんやりと見えていた。
満なのか。
私は、奈津美が破滅することを望んでいるのか。
では「母のため」「父のため」「族のため」と言いながら、私の腹の底に澱のように溜まっていた本音は、もっと浅ましく、醜いものだったのではないか。
――ずるい。
その言だった。
なぜおだけが、あの息苦しいを勝に抜けし、梨のきれいな空気のでしい名をに入れ、優しい夫とい子どもに囲まれて笑っているのか。
なぜ私だけが、あの湿った古いに取り残され、父の排泄物の処理をし、母の愚痴を聞き続け、誰からもされないまま半ばになってしまったのか。
おも苦しめ。
おも、私と同じ獄をしはわえ。
母のためという義名分のに、私は自分の私怨を隠していたのだ。奈津美に罪悪を植え付け、怯えさせ、私のに平伏させたいと願っていたのだ。
「お姉ちゃん……?」
受話器の向こうの奈津美が、私の沈黙を怖がるように呼んだ。
私は、く息を吸い込んだ。
たい空気が、肺の底まで満ちていく。
「奈津美」
「……うん」
「あんたがをた理由、しだけ分かった気がする」
「……え?」
「あんたの部の机、けたわよ。
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私が押し付けた資格の本と、あんたの記帳があった」
奈津美の息が止まる気配がした。
「息が詰まりそうだったんでしょう。お母さんも、私も、あんたを『駄目な子』扱いして、先回りしてをして、全部私たちのい通りにかそうとしてた」
「お姉ちゃん……」
「でもね、奈津美。だからって、あんたがやっていいことじゃなかった」
私は言葉を区切り、はっきりと伝えた。
「逃げるのは勝よ。自分のをき直すのも、あんたの自由よ。でもね、親に『自分の娘がどこかのので野垂れんでいるかもしれない』とわせ続けたことは、正当化できない。どんなにが嫌だったとしても、それはあんたが方に犯した残酷な罪よ」
話の向こうから、嗚咽が漏れ聞こえてきた。
「私はね、もうあんたの方も、敵もやめる」
「……どういうこと?」
「母さんの誕、の夜よ。私は母さんに、あんたの居所も、今の名も、族のことも言わない」
「本当……?」
堵しかけた妹の声を、私は容赦なく遮った。
「だけど、の仲介も、言い訳の代弁も絶対にしない」
「お姉ちゃん……」
「私はもう、あんたと母さんのの通訳はやらないの。、ずっとのでクッションになってきたけれど、もう疲れたわ」
私は受話器をに押し当て、最通告を突きつけた。
「の夜、に、実の固定話を鳴らしなさい。
自分で受話器を取って、自分の声で、母さんにきていることを伝えなさい」