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"十年前消えた妹の耳たぶ" 第9話

古い学習机の引きし

甲府ので奈津美の族とくわしてから、が過ぎた。

。母の歳の誕まで、あとと迫っていた。

そのの夜、母がデイサービスの入浴から戻って々に寝入ったのを見届けた、私は階段をがった。

階の突き当たり。、私が埃を払うことすら避けてきた奈津美の部のにつ。

真鍮の鍵を握るのひらに、たい汗が滲んだ。鍵穴に差し込み、へ回す。い属音がカチャリと響き、分の沈黙が解けた。

ドアをけると、閉め切られた部特の、古と乾燥した布の匂いがをついた。

窓のカーテンは閉め切られ、灯のかりだけが部の輪郭をぼんやりと浮かびがらせている。歳でをた当のまま、シングルベッドには柄のカバーが掛けられ、本棚には代の教科やファッション雑誌が並んでいた。

私は壁にを伸ばし、部のかりをつけた。

蛍灯がチチッと鈍い音をてて点灯する。

部の隅に置かれた、奈津美が代から使っていた製の学習机にづいた。

番の引きしをける。

には、几帳面に理された類の束が入っていた。だが、それらは奈津美が集めたものではなかった。

『ヶで取れる医療事務資格』

『未経験から始めるパソコン般事務』

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『誰でもける、採用担当者のをつかむ履歴のき方』

すべて、私が買ってきて奈津美の机のに積んだパンフレットや教本だった。表の端には、私の几帳面な字で付箋が貼られ、「ここから始めること」「曜までに履歴のきを見せること」と指示がき込まれている。

その奥から、冊のい学ノートがてきた。

奈津美の記帳だった。

パラパラとページをめくると、失踪するヶの付でが止まった。

《お姉ちゃんがまた本を買ってきた。ありがとうって言ったけど、本当は吐きそうだった。お姉ちゃんの言う通りにしないと、お母さんがしそうな顔をする。奈津美は領が悪いから、お姉ちゃんの言うことを聞いていれば違いないって、お母さんは毎言う。私はこので、ずっと半のままんでいくんだとう》

ノートを持つ指先が、微かに震えた。

その次のページには、母の朱のボールペンで文字がき加えられていた。

母は、奈津美の記を勝に読んでいたのだ。

《お姉ちゃんの親切を素直に受け取りなさい。族はあなたを配しているのですよ》

丁寧で、美しい母の跡だった。

胸の奥が、たいをみ込んだようにくなった。

私はずっと、自分を「妹の勝なによってを狂わされた被害者」

だとってきてきた。

妹の尻拭いをし、仕事を諦めて実に残り、父を取り、母の介護をに引き受けてきた「派な女」だとっていた。

だが、あので奈津美がじていたのは、悪による迫害などではなかった。

「あなたのためをって」という、逃げのない善の檻だった。

私は、奈津美を助けていたのではない。

のかかる妹を管理し、世話を焼くことで、自分自の正しさと価値を確かめていただけではなかったのか。

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