"新婦母の席札" 第15話
つの束
ステージにがると、眩しいライトが私たちの界をく染めた。
向かい側には郎の両親がち、央には優と郎が並んでいる。
司会者の図と共に、優が歩にた。
元には、の便箋が広げられている。
『お父さん、お母さんへ』
娘の声が、マイクを通じて会の隅々まで染み渡っていく。
幼い頃のい。をした夜に私が作った卵粥の。反抗期に信夫とを利かなかった々の悔。
つひとつの言葉が、丁寧に紡がれていく。
『……そして、お母さん』
優の線が、便箋からがり、私をまっすぐに見つめた。
娘のきな瞳から、ぽろぽろと粒の涙が零れ落ちていた。
『私はずっと、お母さんの笑顔の裏にある寂しさをっていました。誰かのためにして、誰かのためにをげて、自分の痛みを回しにしてきたお母さんを見て、ずっと胸が痛かった。……でも、今のお母さんは、世界で番凛としていて、美しいです。私の母親が、お母さんで本当によかった。私を産んでくれて、今まで諦めずに守ってくれて、本当にありがとうございました』
隣で、信夫が嗚咽を漏らした。
私の胸の奥からも、い塊が込みげてきた。
だが、その涙はしみでも悔しさでもなかった。のたいのから、ようやく掘り起こされた、本物の尊厳の涙だった。
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束の贈呈。
優が歩み寄り、抱えきれないほどきなカサブランカとピンクの薔薇の束を、私の腕のに託してくれた。
芳醇なりと、ずっしりとしたみが、私の両腕を満たす。
「お母さん」
抱きしめられた娘の肩越しに、優が元で囁いた。
「かっこよかったよ」
「……ありがとう、優」
会から、割れんばかりの拍がり注いだ。
拍子と歓声の、私は腕のの束を抱き締めながら、会の奥へと線を巡らせた。
番ろの親族席。
そこにあったはずの、美津子の姿は消えていた。
空になった子の背もたれだけが、ぽつんとスポットライトの側に取り残されていた。
子が慌てた様子で席をち、入りの方へとりに向かっていくのが見えた。
鳴り散らすことも、泣き叫ぶこともなく、義母は自らそのをったのだ。
自分の支配権が完全に消滅した空に、分秒たりとも耐えられなかったのだろう。
れだとはったが、追いかけようという気持ちは微も湧かなかった。
披宴のおき、ロビーでゲストを見送る列に並んだ。
親戚たちが次々と私たちのを通り過ぎていく。
子をはじめとする親戚筋は、気まずそうに目を泳がせながら、形式な祝辞を述べてにエレベーターへと消えていった。
誰も義母の途退席について触れなかったし、私も何も説しなかった。
すべてを終え、ホテルの正面玄関をた、夜の京のたいが、照った頬をよく撫でた。
「……終わったな」
信夫が、着のポケットに両を突っ込みながら、夜空を見げて呟いた。
「ええ。終わったわね」
私のには、優から贈られたきな束があった。
抱える腕はし疲れていたが、は羽のように軽かった。
私たちはタクシーを拾うこともせず、晩のたい空気のを、並んで駅へと歩きした。