"「実の親じゃない」と夫に言われた日" 第13話
へ向かう幹線の朝
曜の朝、午。
まだがいのに沈んでいるに、キッチンのかりを点けました。
ガスコンロの青い炎が静かにちがり、鍋の湯がコトコトと鳴り始めます。
私はいご飯に塩を振り、アルミホイルを広げました。つは美咲の好きな梅干し。もうつは、昨晩じっくり焼いてほぐしておいた鮭。く角に握り、めないようにのタオルで包みました。
分、玄関にが揃いました。
美咲は、アイロンを当てたばかりの学の制を着て、背筋を真っ直ぐに伸ばしてっていました。元には、数分の着替えが入ったさなボストンバッグがつ。
そして浩司は、もできなかったのか、赤く充血した目でコートの襟をてていました。
そのには、昨まで見向きもしなかった茶い封筒が、指先がくなるほど固く握りしめられていました。には、昨晩彼が夜のコンビニで発してきた戸籍謄本と、実印が入っています。
「……くぞ」
浩司の声は、くかすれていました。
ヶのあの軽な自信や、父親としての傲な響きは、どこにも残っていませんでした。
京駅を午に発する陸幹線『あさま』の内は、曜の朝ということもあって閑散としていました。
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窓側の席に美咲が座り、通側に浩司が座りました。私は通を挟んだ隣の列に腰をろしました。
列が滑りすようにきし、窓の景がのビルから、次第にのりたの田園景へと変わっていきます。
宮を過ぎたあたりで、私はバッグからホイルに包んだおにぎりと、温かいほうじ茶の入った筒を取りしました。
「美咲、お腹空いてない? しだけでもべておきなさい」
通越しに渡そうとすると、美咲はおにぎりを受け取り、ふたつに割って浩司のに差ししました。
「お父さんもべて。朝、何もべてないでしょ」
浩司がびくっと肩をねさせました。
差しされたホイルのには、湯気をかすかに残した鮭のおにぎりがありました。
「……ああ」
浩司は震えるでおにぎりを受け取りました。
そして、かじった瞬、彼の喉がぐっと詰まるような音をてました。
彼は窓のを見つめたまま、俯いて無言でおにぎりを咀嚼していました。そのきな背が、微かに丸まってさく見えました。
軽井沢を抜け、田を過ぎる頃には、窓の向こうにを被った険しい浅の稜線が広がっていました。
内アナウンスが、目の駅名を告げました。
幹線のドアがき、ホームにりった瞬、肌を刺すようなたい信州の空気が肺を満たしました。
「たいね」
美咲がい息を吐きながら言いました。
「ええ、空気が澄んでいて、いい匂いがするわ」
私が答えると、美咲はさく頷き、の残るロータリーに向かって力く歩きしました。
その背は、親のろに隠れてうつむいていたヶの女とは、まるで別のようでした。