みかん小説
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"「実の親じゃない」と夫に言われた日" 第3話

保留音のあとの声

がに通り過ぎ、吐く息がくなり始めたの初旬のことでした。

ヶの、のには氷を踏むような奇妙な静けさが続いていました。

美咲は以にも増して数が減り、学から帰るとすぐに自分の部に鍵をかけてこもるようになりました。

浩司はといえば、机のに溜まった封筒のを鬱陶しそうに端へ寄せながら、折いしたように「県の倍率はどうなんだ」と美咲に尋ねる程度でした。

は、浩司が昔から「ここにけば違いない」と方に決めていた、自宅から自転で通える学でした。

美咲はそのたびに、「普通じゃない」とだけく返し、線をわせようともしませんでした。

浩司はそれを、ただの「期の反抗期」だと決めつけ、真剣に向きおうとはしませんでした。

事件が起きたのは、凍てつくような寒さの曜の午過ぎでした。

夕の片付けを終え、私がリビングの加湿器にをしていた、固定話がけたたましく鳴り響きました。

ソファで横になっていた浩司が、面倒そうに受話器を取りました。

「はい、神ですが」

相の声は私には聞こえません。

ですが、浩司の緩みきっていた背筋が、瞬でピンと張り詰めるのが分かりました。

「……は? あ、美咲の担任の髙先ですか。

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ええ、いつもお世話になって……え? 第志望の、推薦願?」

浩司の声のトーンがねがりました。

「何を仰ってるんですか。美咲の第志望は県ですよ。推薦入試の願なんて、うちが提するわけないでしょう」

受話器の向こうから、困惑と緊張の混じった女性教師の声が漏れ聞こえてきました。

浩司の顔が、みるみるうちに青ざめ、それからりで赤黒く染まっていきました。

「野……? 全寮制?! 待ってください、聞いてませんよそんな話! 本が直接してきたって、保護者の承諾印がないと受理できないはずでしょう!」

私の臓が、ドクンと嫌な音をててねがりました。

浩司は激昂し、受話器を持つ指先を震わせていました。

「あいつ……! 先、ちょっと待ってください。今すぐ本に確認しますから!」

浩司は乱暴に保留ボタンを押し、受話器を放りすようにして階段のほうへ鳴り散らしました。

「美咲! 美咲、今すぐりてこい!!」

の窓ガラスがビリビリと震えるほどの声でした。

階のドアがき、スリッパの音がして、美咲が階段をりてきました。

制のスカートのにグレーのパーカーを羽織った美咲の顔には、怯えのはありませんでした。

むしろ、ずっと張り詰めていた糸がプツリと切れたような、奇妙なほどたく乾いた目をしていました。

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浩司は美咲の胸ぐらを掴まんばかりの勢いで詰め寄りました。

「お、学に何をしたんだ! 野のってどういうことだ! 全寮制の農業・環境科に自己推薦願をしたって、担任から話がかかってきてるんだぞ!」

リビングの空気が瞬で氷点に凍りつきました。

私はタンクを抱えたまま、呼吸すら忘れて美咲を見つめていました。

野の、全寮制。

ここからと幹線を乗り継いでも以かかる、あいの町にある公でした。

「美咲……本当なの?」

わず私のから、かすれた声が漏れました。

美咲は私のほうを瞬だけ見ました。その瞳の奥に、何か言いれぬ痛みがったように見えましたが、彼女はすぐに線を逸らし、父親の目をまっすぐに見据えました。

「本当だよ。今週の曜が推薦の締め切りだったから、自分で先に頼んでしてもらったの」

「お……ふざけるな! 親に無断でそんなくの学を受験していいわけがないだろう! 寮活なんてがいくらかかるとってるんだ!」

浩司の鳴り声がリビングに反響しました。

「取り消せ! 今すぐ先に代わって、違いでしたってをげろ! おはにけばいいんだ!」

浩司が保留状態の受話器を掴み、美咲ののに無理やり押し付けようとしました。

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