"私の弁当に、店長の娘の名前" 第19話
【商品企画・調理設計: 佐子()】 【分析・提案作成:本 里奈(商品発部)】 【製造協力: 惣菜チーム】
発売初、の売りは、直からだかりができた。 先販売のクレームをっていた客たちも、「が戻った」「やっぱり美しい」と々に言いいながら、次々とカゴに入れていく。 夕方のには、初回納品分の百が完全に完売した。 廃棄ロスは、ゼロだった。
休憩で、佐藤さんが私の肩を抱きしめて泣いた。 「よかった……本当によかったわ、さん! 私、シールの名見たとき、自分のことみたいに嬉しくて涙がちゃったわよ!」 リンちゃんも、満面の笑みで拍をしてくれた。 「さん、すごいです! 本当のことがちゃんと伝わって、本当によかったです!」 には規定通りの達成当が支され、パートたち全員に特別報奨が配られた。 誰も損をしなかった。 ただ、嘘だけが消えったのだ。
本は、コンプライアンスの調査を経て、管理職の格処分となった。 次期の昇ラインから完全にされ、県の配送センターの管理担当へと異が決まった。 っていく、彼は度も惣菜部の厨に顔をさなかった。
方、本里奈は会社を辞めなかった。 正規登用の話はいったんに戻されたが、彼女自が希望して、発部のアシスタントとして契約を更し、臭いデータ入力や積みの仕事をからやり直していた。
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そして、私にも本社からつの通達が届いた。 『商品発部への半の社内トレーニー(研修)派遣』。 のパートタイマーのままではあるが、週には本社の発でレシピ発の基礎を学び、残りのは舗の厨で仕込みを担当するという、異例の待遇だった。
代半ばを過ぎて、しい環境にび込むことは、正直に言って怖かった。 に乗って本社のビルに通う自分の姿など、像もつかなかった。 だが、娘の咲良に話で報告したとき、彼女は受話器の向こうで声を弾ませて言った。 『お母さん、絶対にきなよ! 私、お母さんが自分の名で戦ったこと、世界で番誇りにってるんだから』 その言葉が、私の背をく押してくれた。
季節は巡り、が訪れ、そして初が過ぎた。
本社の研修を終えたあるの夕方、の厨での仕込みをしていた私の元に、の女性が訪ねてきた。 紺のな作業着を着て、髪をつに束ねた本里奈だった。 すっかり焼けし、かつてのような着飾った華やかさは消えていたが、その表には以にはなかった芯のさがあった。
「さん。お疲れ様です」 「本さん。どうしたの、こんなに」
里奈は照れくさそうに笑いながら、保バッグからさないタッパーを取りした。
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には、に切られた茄子と豚肉の噌炒めが入っていた。
「いま、発部で暮らし向けの野菜惣菜のコンペがあるんです」 里奈はタッパーの蓋をけ、串を私に差しした。 「私なりに、スーパーの閉際に来るお客さんのカゴのをヶ観察して、自分でレシピを考えて、試作で何回も炒め直しました。……さんに、番にべてほしくて」
私は串を受け取り、茄子をつに運んだ。 ゆっくりと噛みしめる。 噌のばしさと、豚肉の脂の旨が広がる。 だが、加減がすぎたのか、茄子の皮の繊維がしく残り、にわずかな苦が残っていた。
私は元をナプキンで拭い、彼女の顔を見た。
「……美しくないわね」
里奈の顔が、瞬で引きつった。 「えっ……! そ、そんなにストレートに言わなくても……! もうちょっと、こう、オブラートに包んでくれてもよくないですか!?」 「そう? じゃあ、言い直すわね」 私はクスリと笑った。 「それは、かなり、美しくないわ」
「ひどい!」 里奈が叫び、それからで顔を見わせて、同に吹きした。 厨のに、るい笑い声が響いた。 それは、傷つけい、嘘を暴きった過を通り抜けたが、初めて同じ目線で交わした、本物の笑顔だった。
半。
の惣菜部に、歳になるしいパートの女性が入ってきた。
柄で、いつも緊張したように背を丸めているさんというだった。