みかん小説
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"私の弁当に、店長の娘の名前" 第11話

本社の神部からされた命令は、酷かつ絶対なものだった。 「全国流通が能な代替材に切り替え、週の発売までにレシピを再構築しろ。ただし、原価は現のまま、とのクオリティは絶対に落とすな。これができなければ、全国展はに戻す」

夕暮れ、惣菜部の厨に、血相を変えた本里奈がび込んできた。

そのには、のついた販の流通用の根と、凍の輸入乱切り牛蒡のサンプルが握りしめられていた。 スーツの袖は乱れ、髪はほつれ、その顔は完全なパニックに陥っていた。

「さん……!」

里奈は私のに滑り込むようにしてち止まった。 その目には、もはやプライドも、駆け引きも、れみもなかった。 あるのは、巨な圧に押し潰されそうなの、剥きしの恐怖だけだった。

「だめなんです……凍の牛蒡を使うと、解凍したときに分がすぎて、汁が全部まっちゃうんです……! 根も、分量が全然違って、同じ煮たらボロボロに煮崩れて、穀米がべちゃべちゃになって……! 原価をわせようとすると、がコンビニの物以になっちゃうんです……!」

彼女は泣き叫びそうな声で、私の作業台のにサンプルをぶちまけた。

「助けてください……! お願いです、さん! あと週しかないんです! これが失敗したら、私、会社にいられなくなります! 全部私の責任にされます! どうすればいいか、教えてください……!」

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震えるで、彼女が私のエプロンの裾を掴もうとした。 私は静かに歩、ろへ引いた。

私の界に、かつて私がチラシの裏に描いた弁当の姿が浮かんだ。 自転でっても汁が漏れず、お寄りも若者も最のまで美しくべられる、あの温かい弁当。 それを、自分の功績のために奪っていった々が、いま、自らの無能さと傲さによって自滅しようとしている。

私は、散らばった凍牛蒡の袋を見つめ、それから本里奈の濡れた瞳をまっすぐに見据えた。

私のは、驚くほど静まり返っていた。 迷いも、同も、微も湧いてこなかった。

「本さん」 私は、く、穏やかな声で告げた。 「りません」

里奈のきが止まった。

「これは、あなたの企画です。あなたが考え、あなたが社内報で誇らしげに語った、あなたと現の結晶でしょう? 私に聞く筋いはありません」 「さん……! そんなこと言わずに……!」 「自分で決めてください。本社の、商品発担当者なんですから」

私はそう言い捨てると、袋をし、タイムカードの打刻へと歩きした。 背から、「待ってください! さん! お願いだから!」と叫ぶ痛な声が追いかけてきたが、私は度も振り返らなかった。

すべては、ここから崩壊へと向かっていく。 のでった者が、どれほど脆く崩れるのかを、私はただ見届ける覚悟を決めていた。

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翌から、の私に対する態度はあからさまに変わった。

朝の朝礼で、私の目を見ることは度となかった。 それどころか、毎週末に張りされる翌週のシフト表を見るたび、胃の奥がたく締め付けられた。

私の持ちは、仕込みと煮物の担当からされていた。 代わりに割り当てられたのは、厨ので誰もが嫌がる過酷な作業ばかりだった。 ちっぱなしで油のに張り付くフライヤー担当。 閉のグリストラップ(油分阻害施設)の臭いヘドロ清掃。 そして、え切った夜のバックヤードでの、いゴミ回収と段ボールの圧縮作業。

「さん、これ、あんまりじゃないかしら」

更でシフト表のコピーを見ていた佐藤さんが、りで声を震わせていた。 「、仕込みのとして厨を回してきたさんをつかまえて、連グリストラップの掃除だなんて。あそこは若い男子バイトが交代でやる所よ。膝を悪くしたらどうするの」 「丈夫ですよ、佐藤さん。仕事ですから」 「丈夫なわけないでしょう! 、らかに嫌がらせしてるわよ。……あの企画のことで、何かあったんでしょう?」

佐藤さんの鋭い線に、私は言葉を詰まらせた。 「……何でもないんです」 「何でもなくないわよ。あのテレビの社内報が流れてから、の空気がおかしいもの。

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