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"私の弁当に、店長の娘の名前" 第3話

悪いが、今さら本社に呼ばれて発部に席が用されるとうかい? パートはパートなんだよ。いくら名をいたところで、会社が半ばのパートを総職にするわけがない」

臓の奥を、たい針で刺されたような気がした。 っていた。そんなことは、最初から痛いほど分かっていた。 それでも、ほんのしだけを見ていたのだ。 、油の匂いにまみれて働いてきた自分の経験が、正当に認められるかもしれないと。

「それにね」 はちがり、私の肩のあたりに線を落とした。 「この企画が全国展になれば、うちのに特別な達成当がる。惣菜部のみんなにも、が配られるんだ。佐藤さんも、留学のリンちゃんも、みんな君を応援して、自分の持ちをカバーしてくれただろう。いま君がになって騒いだら、この話自体がち消えになる。そうなったら、みんなの努力はどうなるんだい?」

卑怯だ、とった。 自分の娘のために私の名を奪いながら、最には同僚の活を質に取る。 を過ぎて膝の痛みに耐えながらフライヤーのにつ佐藤さんの顔が、をよぎった。 国へ仕送りをするためにシフトを増やしたがっているリンちゃんの笑顔が浮かんだ。

「商品が世にて、お客さんにんでもらえれば、それが番じゃないのかい? 君は昔から言っていたじゃないか。

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『私は、みんなが美しくべてくれればそれでいい』って」

自分が過に言った言葉が、鋭い刃物になって自分に突き刺さる。 それは、波をてないための、ただの謙遜だった。 都よく使われるための言葉ではなかったはずだ。

「はに本社の神部が来る。里奈も本社のとして同席する。君は、厨で試用の弁当を完璧な状態で仕げてくれればいい」

は私のから、青いファイルをすっと抜き取った。 「頼んだよ、さん」

事務所の扉が閉まる。 私はえ切った廊に取り残され、震える自分の両をただ見つめていた。

翌朝、のバックヤードには、張り詰めた空気が漂っていた。

「さん、緊張してる?」 仕込み台の隣で、佐藤さんが参を乱切りにしながら声で囁いてきた。 「丈夫よ。あんなに売れたんだから、絶対に本社のも気に入るわ。みんな応援してるからね」

佐藤さんの皺の刻まれたが、私のエプロンの裾をポンと叩いた。 私は引きつった笑みを返すことしかできなかった。 言えなかった。 あの企画から、私の名が消えていることを。 このたちがんで応援してくれている成果が、すでにの娘のものとして処理されていることを。

午。 事務所の奥にある応接に、本社のが到着した。

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やってきたのは、商品発部の神部。代半ばの、切れの目をした痩の男だった。 無駄な贅肉のないスーツを着こなし、いかにも「本社のエリート」という鋭いを放っている。

そして、その隣にっていたのが、本里奈だった。 仕ての良い紺のパンツスーツにを包み、い髪をろで束ねている。 まだ学の面を残しながらも、緊張で背筋をピンと伸ばしていた。 によく似た、志のそうな眉をしていた。

「では、試をお願いします」 の声に促され、私は盆に乗せたつの弁当を、応接のテーブルへ運んだ。 私の役目は、ただの配膳係だった。

「こちらが、発部のインターンである本が起案いたしました、単者向けの煮物弁当です」 が誇らしげに紹介する。 「調理と現でのデータ取りは、こちらのベテランパートのがサポートいたしました」

神部は私を瞬だけ見げ、軽く会釈した。 そして、割り箸を割り、弁当の蓋をけた。

ふわりと、汁と姜のりが部に広がる。 部はまず、鶏肉をに運んだ。ゆっくりと噛む。 次に、参と牛蒡。最に、穀米を。 無言のが流れる。 が固唾を呑んで見守り、里奈は膝ので組んだをくなるほど握りしめていた。

「……うまいな」 神部が箸を置いた。

「驚いたよ。スーパーの惣菜特の、あの尖った醤油臭さがない。めているのに、根菜の芯まで汁が均に染みている。

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