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"失踪した兄へ父が送り続けた金" 第2話

、度も欠かさずに。これ、誰の座なの?」

修平は答えなかった。 ただ、直したをおずおずと伸ばし、私のから振込用の束を引に奪い取った。

「修平?」

「関係ない」

修平の声は、普段の穏やかな弟のものとはえないほどく、ひび割れていた。

「関係ないって、どういうことよ。父さんはお兄ちゃんを探してるふりをして、本当は居所をってたの? おを送ってたの? 母さんはぬまで、お兄ちゃんがどこで野垂れにしてるんじゃないかって泣いてたのに!」

分のが気に噴きしそうになり、私の声がずった。

母がくなるの晩、識が朦朧とするで井を見げ、「也は、まだ見つからないの」と父に尋ねた面を、私は今でも鮮に覚えている。 そのとき父は、母の痩せたを握りしめ、「ああ、まだだ。だが必ず連れ戻すからな」と答えていたのだ。

もしあの、すでにこの振込が続けられていたのだとしたら、父は何だったのか。

「やめろ、姉さん」

修平は私の言葉を遮るように、の束を胸元に抱え込んだ。

「親父はもうんだんだ。母さんもいない。今さらこんな切れ枚で昔のことを引っ張りして、何になるんだよ」

「切れ枚じゃないでしょう、分よ! あなた、これってたのね? この座が誰のものかってるんでしょう!」

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「らない!」

修平が鳴った。 のの空気がびりびりと震え、静寂が戻る。 修平自も、自分の声に驚いたように元を押さえた。 荒い息をつきながら、弟は元にあるゴミ処理用の段ボール箱を見つめた。

「……俺はさ、姉さん」

修平の声が、かすれた調子に戻った。

「兄貴がてってから、全部ひとりでやってきたんだよ。学を辞めて、親父の倒れかけの会社に入って、取引先にをげて回ってさ。母さんのの世話も、父さんの病院通いも、全部俺がやった。あのは度だって顔を見せなかった」

修平の指が、振込用の端をぎゅうぎゅうと握り潰していた。

「親父が誰にを送ってようが、もう関係ないだろ。このを売って、借を返して、俺たちの活をやり直すんだよ。頼むから、これ以ややこしいことを持ち込まないでくれ」

そう言って、修平は用の束を丸め、部の隅に置いてあったシュレッダーの青い投入へと突っ込もうとした。

「待って!」

私が叫んでびついた瞬、修平のが止まった。 弟の目は、どこか怯えているようにも、ひどく疲労しきっているようにも見えた。

「……燃やすよ。こんなもの、残しておいても誰も幸せにならない」

修平は丸めたをズボンのポケットにねじ込むと、そのまま背を向けて玄関へ向かった。 「ちょっとコンビニってくる」

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とだけ言い残し、引き戸が荒々しく閉まる音が響いた。

残された斎で、私は呆然とち尽くしていた。 だが、ふと元を見ると、破れた片が枚だけ、畳の隙に落ちていた。

先ほど私が奪い返そうとしたときに千切れた、番古い振込控えの半分だった。

そこには、父の字でしっかりとかれていた。

振込先:羽 館支 座名義:森田自修理 代表 森田郎

館。 田県の部にあるだ。

なぜ田なのか。 川には、に親戚などもいない。 父の取引先も、ほとんどが京と埼玉の物業者だったはずだ。

翌の午、私は勤務先の印刷会社の昼休みに、オフィスの非常階段でスマートフォンを握りしめていた。

ネットの検索窓に『田県館 森田自修理』と打ち込む。 方のさな個らしく、公式のホームページなどはしなかった。 けれど、元の商会議所の古い事業者覧と、話帳のアーカイブにその名が残っていた。

創業は。 兄の也が京から姿を消した、ちょうど翌のだった。

代表者名の『森田郎』という名には、まったく当たりがない。 だが、父が、毎欠かさず万円を送り続けていた相が、このであることは違いない。

非常階段のい鉄の扉の向こうから、同僚たちの笑い声がかすかに聞こえてくる。

私はたくなったで、画面に表示された局番から始まる話番号をタップした。

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