"二年間買い続けた夫の浮気相手" 第9話
爪がのひらにい込み、鋭い痛みがる。
「あなたは私を傷つけたのよ! 私の体から子宮が切り取られて、番苦しくてにそうだったに、あの男と笑いっていたのよ! その罪から逃げるために、私の言葉を都のいい精神定剤代わりに使っていただけじゃない! 私がを向いてきている姿を見て、『ああ、あのは元気にしてる、だから私のしたことはそこまでい罪じゃない』って、自分を慰めるための免罪符にしていただけでしょ!?」
私の叫びが、テラスのの壁に反響した。
美穂は反論しなかった。 ただ、蒼な顔のまま、私のりを正面から受け止めていた。 その瞳から、ようやく筋の涙がこぼれ落ち、痩せた頬を伝っていった。
「……ええ」
美穂は掠れた声で、静かに言った。
「その通りです。子さんの言う通りです。私は、自分の罪のさに耐えられなくて、あなたを利用してました。あなたがきていてくれないと、を向いていてくれないと、自分が殺しになったような気がして、怖くてたまらなかったんです」
「だったら……!」
「だから、許してほしいなんて言えません」
美穂は首を横に振った。
「謝って許してもらえるなら、いくらでも座します。でも、そんなことをしたら、私が楽になるだけだ。子さんに許しを乞うこと自体が、私の甘えで、傲なんです。
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だから、展示会のも、顔をわせるつもりはありませんでした。ただ、くから……あなたがちゃんと笑っているのを見て、それで終わりにしようとってたんです」
「終わりにできるわけないでしょう!」
私は激しい息を吐きしながら、たいすりにを突いた。 りで界がチカチカと滅する。
同など、湧くはずがなかった。 どんな理由があろうと、この女が私のを度破壊した事実に変わりはない。 彼女が健から暴力を振るわれていようと、活費に困っていようと、それは彼女が選んだだ。自業自得だ。 私が背負わされた絶望のさに比べれば、そんなもの、痛みのうちに入らない。
「もう、度と私のに現れないで」
私はえ切った声で告げた。
「ショップのアカウントも、さっきブロックしたわ。あなたの名も所も、度と私の目に入らないようにした。あなたがどうやってきようと、どうやってのうと、私には何の関係もない。度と私のに関わらないで」
私は踵を返した。 い鉄の扉へ向かって、で歩きす。 これ以、この女と同じ空気を吸っていたら、私自のが汚染されてしまいそうだった。
テラスのドアノブにをかけた、その瞬だった。
背から、美穂の掠れた、けれど芯の通った声が響いた。
「健さん、子供を奪う気です」
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私のが、ドアノブので止まった。
振り返りはしなかった。 けれど、背に突き刺さる彼女の気配が、急激にさを増したのが分かった。
「……何?」
「婚調を、申してられました。健さんから」
美穂の声には、もはやの昂ぶりはなかった。 ただ、底のれない絶望の底から絞りされたような、平坦でたい響きがあった。
「歳になる息子がいます。翔太っていう名です。健さんは、私には育児能力がない、精神に定で浪費癖があるって、裁判所に嘘の申をしました。あのは、自分が利になるためなら、どんな嘘でも平気でつきます。自分の非を絶対に認めず、すべてを相のせいにして、自分だけが被害者の顔をする」
美穂の音が、コンクリートので微かに擦れた。
「、あなたに対して言ったことと、まったく同じです」
臓を、たい針でひと突きされたような覚がした。
「『おが悪い』『おが庭を壊した』『おにはきている価値がない』……あのが今、私に向かって毎吐き散らしている言葉は、かつてあなたが病で、あのマンションで浴びせられた言葉そのものです」
美穂は、自嘲するようにく息を吐いた。
「因果応報ですね。自分が奪った男に、今度は自分が同じで切り捨てられようとしてる。当然の報いです。私には、弁護士を雇うおもありません。
パート代も、健さんに差し押さえられそうになっていて……このままじゃ、息子を取られます」