"二年間買い続けた夫の浮気相手" 第5話
過の購入履歴が、縦にずらりと並んでいる。 回。 毎、欠かさず。
私の線が、リストの番――の、番最初の履歴に止まった。
あの。 私がたいアパートので、もうんでしまおうかとさえい詰めていた夜。 初めて入った、たった千百円の注文。
その付を改めて確認した瞬、私の呼吸が喉の奥で詰まった。
――〇、。
私がショップを公したのが、だった。 わずか、。
まだSNSのフォロワーも数しかおらず、検索エンジンにも引っかからず、りいにも誰としてのを教えていなかった期だ。 私が夫と婚し、をてから、まだヶも経っていない頃だった。
画面に表示された文字を、私は息を殺して見つめた。
『お、閉じないでください。また買いに来ます』
背筋を、たい氷のようなものが滑り落ちていった。
彼女は、私が成功してから、罪滅ぼしのために買い始めたのではない。 私がまだ何者でもなく、世から見捨てられ、ただのアパートので震えていたその瞬から、私のことを見ていたのだ。
なぜ?
どうやって、あの期にこの無名のを探し当てたのか。 どうして、夫を奪った女が、婚直の惨めな元妻に向かって「おを閉じないで」などと言えたのか。
同? それとも、嘲笑?
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デスクのの切れに記された話番号が、暗ので嘲笑うかのように、私の瞳に焼き付いてれなかった。
アトリエの机の引きしをけると、あのつ折りにされた片が、く乾いたを放っていた。
指先で触れると、の端がかすかに引っかかる。 展示会の、ゴミ箱から拾いげて平らに伸ばしたそのには、美穂の震える跡がそのまま焼き付いていた。
『ごめんなさい。許してほしくて来たのではありません』
私はため息を呑み込み、引きしを乱暴に閉めた。 ガタンという鈍い音が、静まり返った部に響く。
考えないようにしようとしても、指先が勝にあの夜の記憶を繰り寄せてしまう。 の。 私が絶望の底で、誰にも見つからない暗のにいたあの、美穂はすでに私を見ていた。 嘲笑うためか、それともれむためか。 どちらにせよ、奪った側の女が、奪われた側の元をじっと観察していたという事実に変わりはない。
私はパソコンの源を入れ、ネットショップの管理画面をいた。 顧客データベースから『MIHO』の文字を呼びす。 購入回数、回。 累積額にして、万円にも満たないさな取引の履歴だ。 だがそのつひとつに、あの女の線が、息遣いが、まとわりついていたのだとうと、肌の表面が粟つような嫌悪がこみげてきた。
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私は顧客ステータスを『アクセス遮断』へと切り替えた。 送り先として登録されていた都内のアパートの所、メールアドレス、話番号。 すべてをブラックリストに放り込み、度とこのショップから商品を購入できないように設定を保する。
『設定を更しました』
画面に表示された無質なシステムメッセージを見つめながら、私はマウスをく握りしめた。 これでいい。 最初から、あんな女との接点などするはずがなかったのだ。 あの男と、あの女がで勝に落ちぶれていこうが、惨めな活を送っていようが、私には何の関係もない。
私はリューターをに取り、作業台に向き直った。 の板にヤスリをかけ、無に刃先をかす。 削り落とされるのが、指先をく汚していく。 をかしているだけは、のの雑音を消しることができた。 私には私の活がある。 守らなければならない、ようやくに入れた自分だけのがあるのだ。
だが、どれだけ作業に没しようとしても、カレンダーに刻まれた赤い丸印だけは消すことができなかった。
曜。 術から丸が経過した、術定期検診のだった。
都にある学病院の婦科・腫瘍来は、いつ訪れても特の苦しい空気に満ちていた。
自ドアをくぐった瞬に腔を突く、消毒液と湿ったエアコンの臭い。
い廊に並ぶプラスチックのベンチには、さまざまな代の女性たちが、押し黙ったまま座っていた。