"身重の私を捨てた夫の誤算" 第18話
「あなたは、私のコードを盗み、実績を盗み、自尊を奪い続けた。そして今、すべてを失いそうになってなお、私を『自分を救うための具』として利用しようとしている。やり直す? 子どもに何自由ない活をさせる? ……冗談はやめて」
私の線は、の胸の奥底にある卑しさを、正確に射抜いていた。
「あなたが守りたいのは、子どもでも、私でもない。、私のに隠れて肥え太らせてきた、その空っぽなプライドだけよ」
の顔から、急速に血の気が引いていった。 願の仮面が剥がれ落ち、そのから、醜悪な憎悪が鎌首をもたげる。
「……宮子、お……」
はちがり、指を差して喚き散らした。
「そこまで言うか!? 俺がここまでをげてるのに、しもが湧かないのかよ!? お、本当に血も涙もない悪魔だな! 自分の夫を……まれてくる子どもの父親を社会に抹殺して、そんなに楽しいのか!? おが俺の名を奪い返したところで、誰がぶんだよ! おはただ、俺を破滅させたいだけの鬼畜だ!」
「奪い返す?」
私はややかに言い放った。 昨、話越しに突きつけた言葉を、今度はこの男の目ので、逃げのない現実として叩きつける。
「奪われたものを元の所に戻す。ただそれだけのことが、なぜあなたを破滅させることになるの?」
「ぐっ……ッ!」
「答えられないでしょう」
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私は吐き捨てるように言った。
「私の名を取り戻すことが、あなたの破滅をするのなら――あなたのそのものが、最初から私の名のに建てられた偽物だったということよ」
の喉がヒッと鳴り、言葉を完全に失った。 がもつれ、たまりのに無様にずさりする。 もはや、彼の持ちのカードは枚も残されていなかった。 嘘も、も、脅迫も、子どものすら、私という防壁を突き崩すことはできなかった。
「連れてってください」
私が告げると、SPたちが即座にき、呆然とち尽くすの体を抱え込んだ。
「待て……宮子! 宮子ォッ! 頼む、考え直してくれ! 、俺はどうすればいいんだよ!? 宮子ォォォッ――!」
のの向こうへ引きずられていくの絶叫は、やがて激しい音のに掻き消されていった。
通用のい鉄扉が閉まり、再び静寂が戻る。
その瞬、耐え難い激痛が腹部を貫いた。
「うっ……!」
私は子のでかがみに崩れ落ちた。 今までの駆陣痛とはらかに違う、骨盤を無理やり押し広げられるような、鋭く、規則な激痛。
「宮子さん!」
神崎が叫び、すぐに医療スタッフが駆け寄ってくる。
「陣痛です! 隔が分を切っています!」
医師の声がくで聞こえる。 子が猛スピードで押され、エレベーターへと駆け込んでいく。
界がく滅するで、私は胸元のポケットにを当てた。
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押し潰されたロケットペンダントのたい属の触。
の朝、同事故説会。 破滅の淵にたされたが、最にどのような選択をするのか。 そして、の沈黙を破り、私自ので名を取り戻すための最の戦いが、すぐそこまで迫っていた。
けれどそのに、私はもうつの、命を懸けた戦いに挑まなければならなかった。
(きて……絶対に、産んでみせる)
激しい痛みの波に呑み込まれながら、私はく、く目を閉じた。
張り止めの点滴の針が、私の首の血管に鈍い痛みを送り続けていた。
同事故説会の当の朝。 午を回ったばかりの霞が関は、底えのする濃い朝に包まれていた。
特別技術顧問の姿見のにち、私は濃紺のマタニティ用のフォーマルスーツの襟元をえた。 鏡のに映る自分の顔は、連の徹夜と陣痛の予兆のせいでく研ぎ澄まされていたが、その瞳の奥には、かつて庭という檻ので怯えていたはどこにも残っていなかった。
「宮子さん、音と血圧はひとまず定しています。ですが……」
を着た担当医が、聴診器を首にかけながら厳しい表で私を見つめた。
「昨夜投与した濃度の収縮抑制剤で、子宮の収縮を力づくで抑え込んでいるだけの状態です。薬効が切れる限界は、く見て今の正午。
……説会が終わり次第、ただちに分娩へ直していただきます。