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"身重の私を捨てた夫の誤算" 第16話

点滴の管につながれながら、私は再び作業端末の画面を見つめていた。

だが、休まるは与えられなかった。 夕暮れ、今度は神崎が険しい表でタブレット端末を私の元へ持ってきたのだ。

「宮子さん、社内の定点ログにたなきがあった。……神田玲奈だ」

画面には、野の自宅マンション――かつて私が暮らしていたあの部のリビングが映しされていた。

内は荒れ果てていた。 には脱ぎ捨てられた類や空の酒瓶が転がり、ソファの央でを抱えているのに、仁王ちになった玲奈がっていた。 昨までの甘ったるいの面は微もない。 玲奈の顔は、りと焦燥で鬼気迫るものになっていた。

『ちょっと! どうするつもりなのよ、この状況!』

スピーカーから、玲奈の切り声が響く。

『さっきパパから話があったわ! 野システムズが国の案件から排除されたら、うちの産会社が保証になってる融資枠、全部引き揚げられるって! あんた、私に「全部順調だ」って嘘ついてたの!?』

『う、嘘じゃない……!』

が掠れた声で反論する。

『なトラブルだ! 宮子のやつが、嫌がらせでパッチのコードをロックしやがったんだ! あいつさえ……あいつさえ言うことを聞けば、元に戻るんだよ!』

『まだそんな寝言を言ってるの!?』

玲奈は元にあったグラスを掴み、の元のに叩きつけた。

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ガシャン、とガラスが砕け散る。

『社内のエンジニアたち、みんな言ってるわよ! のシステム基盤から何から、全部あの奥さんが作ったものだって! あんたはただ、あのの成果を横取りして役員に収まってただけの張り子の虎だったんじゃない!』

『違う! 俺が……俺がマネジメントをして、案件を取ってきたからこそ――』

『黙りなさいよ、無能!』

玲奈はの胸ぐらを乱暴に掴みげた。 その瞳には、侮蔑と、自分自の選択への激しい悔が燃え盛っていた。

『私はね、あんたの「才能」と「将来性」に賭けたのよ! 略奪だの何だのって叩かれて、友達も失って、それでもあんたと結婚すれば勝ち組になれるとってたから耐えたのよ! それなのに……が空っぽのただの詐欺師だったなんて、冗談じゃないわよ!』

『玲奈、頼むから落ち着いてくれ……!』

『落ち着けるわけがないでしょうが!』

玲奈はを突きばした。はソファから転がり落ち、砕けたガラスの破片のにをついた。

『いい、よく聞きなさい、。の説会、あんたは何が何でも「自分の柄」を証しなさい』

玲奈は酷に言い放った。

『あの奥さんのせいにするのよ。「元妻が逆みして、会社のシステムに罠を仕掛けた」って、査問委員会で証言しなさい。証拠類なんて、パパの息のかかった弁護士に頼めばいくらでも偽造できるわ。

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……あんたがを被って会社を潰すなら、私もあんたを連れにして、過のインサイダー取引も全部警察にバラしてやるから!』

玲奈は吐き捨てるように言い残すと、激しくドアを閉めてていった。

画面ので、取り残されたは、血の滲む自らのの平を見つめながら、ガタガタと震えていた。

「……破滅に向かって、互いに首を絞めっているな」

神崎が苦々しく呟いた。

「神田玲奈も必だ。彼女の実の産会社は、野システムズとの業務提携を提に額の借入をしている。氏が失脚すれば、共倒れになる。だからこそ、あの男に最まで嘘を突き通させようとしているんだ」

私は画面から静かに目を逸らした。 かつて私を嘲笑い、「カエルみたい」と見していた女が、今度は自ら仕掛けた罠に嵌まり、という舟諸共沈んでいく。 けれど、そこに爽などはなかった。 ただ、嘘のに築かれた関係の、あまりの脆さと浅ましさに胸が痛むだけだった。

そして、夜が訪れた。

計の針が午を回った頃。 脚がまり、病の窓を激しく叩く音だけが響く、再びセキュリティから緊急の連絡が入った。

『神崎補佐官! 野氏が、病院の正面玄関を突破しようとして警備員と揉みっています!』

「何だと……!?」

『「宮子をせ! 話を聞くまでここをかない!」

と半狂乱になって叫んでおりまして……警察を呼びますか!?』

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