"身重の私を捨てた夫の誤算" 第13話
神崎は画面に並ぶ無数の差分データをい入るように見つめ、く唸った。
「完璧だ。……これで、野システムズが主張していた『部からの正アクセスによる抗力』という言い逃れは完全に砕される。あの男が、自らの無能を取り繕うために未完成のコードを盗用し、結果として国インフラを危に陥れたというかぬ証拠だ」
神崎はファイルを机に置き、く息を吐いた。
「この鑑定は、内閣府および総務省の同査問委員会に正式に提する。の午、会と同に委員全員の元に配られる筈だ」
「よろしくお願いします」
をげようとした瞬、腹部がギューッとく絞られるような痛みに襲われた。
「っ……」
わず机の縁をく掴む。指の関節がくなるほど力を込めた。 呼吸が乱れ、喉の奥から浅い喘ぎが漏れる。
「宮子さん!」
神崎が慌てて駆け寄り、私の背を支えてくれた。 すぐにナースコールが押され、待していた女性医師と護師がに入ってくる。
「横になってください、宮子さん。呼吸をして。吸って、吐いて……」
医師の指示に従い、私は子に移されてベッドへと運ばれた。 たいジェルをお腹に塗られ、超音波のプローブが当てられる。 ドク、ドク、ドク、ドク――。 静まり返った病に、力く、激しい胎児の音が響き渡った。
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「子宮がセンチほどきかけていますね」
医師はモニターを見つめながら、真剣な面持ちで告げた。
「駆陣痛が本格化しています。胎児のもかなりがってきている。精神な緊張が引きになっているのは違いありません。本来なら、今すぐにすべての作業を断して、陣痛へ移していただくレベルです」
「先……の朝までは、持たせられませんか」
私がベッドのシーツを握りしめて問うと、医師は厳しい表を崩さなかった。
「お母さんの体は械じゃありません。赤ちゃんがたいと言えば、私たちはそれを止めることはできないのですよ。……張り止めの点滴を最限まで増量しますが、いつ本陣痛に移してもおかしくない状態だということは覚悟してください」
医師と護師が点滴のルートを確保し、静脈にたい薬剤が注入されていく。 腹部の張りはしずつらいでいったが、骨盤の奥に残る鈍い圧迫は消えなかった。
(あと……。お願いだから、あとだけ待って)
私は平らではなくなった自分のお腹にを当て、まだ見ぬが子に語りかけた。 この子がまれてくる世界を、欺瞞と搾取の沼にしておくわけにはいかない。 母親として、その決着だけは、自分のでって見届けなければならなかった。
医師たちが部をていき、再び神崎ときりになった、病のインターホンが鳴った。
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セキュリティゲートの警備主任からの内線だった。
『神崎補佐官、失礼いたします。階の総受付に、堂博士の面会をく求している物がおります』
「面会? 言ったはずだ、博士の居所は最密扱いだと。切の面会は断れ」
『それが……野氏の実母、野吉と名乗る女性です。「内だ、孫の顔を見に来ただけだ」と受付で声をげておりまして……般の来院者の目もあります。どう対応いたしましょうか』
受話器から漏れる警備員の声を聞いて、私はシーツので指先を張らせた。
野吉。 昨、裁判所ので私の私物をアスファルトにぶちまけ、両親の形見のペンダントを踵で踏みにじった、あの元義母だ。
「宮子さん、会う必はない」
神崎が険しい顔で受話器をで覆った。
「警備に命じて、敷へ退させる。君が今、どれほど危険な状態か分かっていない連だ」
「……いいえ、神崎さん」
私はゆっくりとベッドのリクライニングを起こした。 点滴の管が擦れるさな音がする。
「会います。階の警備面談で」
「正気かい? 今の君の体調で――」
「逃げているとわれたくありません」
私は神崎の目を真っ直ぐに見つめ返した。
「あのたちが今さら何の用でここに来たのか、確かめておきたいんです。それに……裁判所ので言えなかった言葉が、まだ残っていますから」
私の決の固さを悟ったのか、神崎はさく息を呑み、やがてい頷きを返した。