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"元妻の弟に渡した6万円と12年前の手紙" 第21話

類の束には、のきな赤い印鑑で「解除」という文字が押されていた。

それを見て私は、ようやく1つのきな区切りがついたことを実した。

数、私は会社に半休を申請し、午のを使って法務局へ向かった。

最寄り駅からし歩いた所にある、無質で角い建物だ。

に入ると、役所特の静かでし張り詰めた空気が漂っていた。

理券を引き、待のい子に腰をろす。

周囲には司法士らしきスーツ姿のや、配の夫婦が数座っていた。

みんなそれぞれのの節目となる類を抱えて、ここに来ているのだろう。

窓から声がかかり、私はちがってカウンターへ向かった。

「番号35番でお待ちの方」

役所で取っておいた民票と、から送られた類式を提する。

窓の担当者は、鏡をかけた真面目そうなの職員だった。

彼は慣れたつきで類をめくり、記入漏れや印鑑の漏れがないかを確認していく。

「委任状はこちらにご登録の実印で違いないですね」

私はバックから実印を取りし、朱肉をつけて指定された欄にしっかりと押した。

「はい。違いありません」

12、婚届に押したのようにが震えることはなかった。

あのの私は全てを失っていく恐怖としみで、自分の名すらまともにけなかった。

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今は違う。

自分の財産を守り、自分の未来を確定させるために、私は自分のでこの印鑑を押している。

赤い印がいのにっきりと残った。

それを見て私は、自分のにある静かなさを確かめていた。

「はい。類は全て揃っていますね。備がなければ1週ほどで登記が完します」

事務な説は、物の数分で終わってしまった。

「完予定に、またこちらへしい登記識別報を受け取りに来てください」

12もの私を縛りつけていたきな鎖がれる瞬としては、あまりにもあっけない。

しかし現実の続きというものは、案そういうものなのだろう。

私はくをげ、法務局をにした。

「よろしくお願いします」

建物のへると、たいのがコートの裾を揺らした。

見げると1つないい空が広がっている。

私はきく呼吸をして、たい空気を肺の奥まで吸い込んだ。

肩の荷がりたという表現ではりないほど、が軽くなっていた。

これで本当に、あのマンションは私1のものになる。

さおりが自分の命と引き換えに払ってくれたおで、私は自分のを完全に守り切ったのだ。

彼女の過保護なに守られるは、今で終わる。

これからの私は自分の力でそのを維持し、きていかなければならない。

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それは寂しさではなく、静かで確かな誇りだった。

私はまっすぐには帰らず、しだけ回りをして帰ることにした。

普段は乗らないバスに乗り、隣ののきな公園までを伸ばす。

平の午ということもあり、公園にはさな子供を連れた親たちの姿がまばらにあるだけだった。

私は池のほとりにあるベンチに座り、面を揺らすを見つめた。

面には周囲の々が赤や黄にづいた姿を映ししている。

季節は確実に巡り、は止まることなくへんでいる。

さおりがくなってから、もう3くが経とうとしているのだ。

彼女が苦しんだ病気の痛みも孤独も、今はもうない。

そううとしだけ救われるような気がした。

私は決して彼女の全てを許したわけではない。

勝に私のを決めたことへのりは、完全に消えることはないだろう。

でもそのりを抱えたまま、彼女をし続けることはできる。

のは、そんなに単純に割り切れるものではないのだとった。

か黒か、好きか嫌いか、そんなに極端な答えを急ぐ必などどこにもなかったのだ。

12、さおりがてった直の私は、この先のに何の希望も持てなかった。

孤独な部で1を取り、誰にも取られずにんでいくのだと本気でっていた。

自分は誰からも選ばれない価値のないなのだと。

そのい込みが私のを固く閉ざし、周囲とのい関わりを避ける理由になっていた。

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