"元妻の弟に渡した6万円と12年前の手紙" 第20話
私は慮せず、コーヒーとさなケーキのセットを注文した。
彼も同じものを頼み、2のに甘いりのするケーキが運ばれてきた。
コーヒーをみながら尋ねると、彼は嬉しそうに頷いた。
「リサイクルセンターの仕事。すっかり慣れたみたいね」
彼はケーキをしずつ切り分けながら、ぽつりと本音をこぼした。
「はい。周りのも親切で毎仕事にくのが楽しいです。昔の俺だったら、こんなにえなかったかもしれないですけど」
彼は私を見た。
「姉ちゃんがんでから、俺のは半分止まっていたようなものでした。ずっと嘘をついている自分が嫌で、でも約束は守らなきゃいけなくて」
彼は言葉を継いだ。
「なつみさんに本当のことを話せて、やっと俺の計もきした気がします」
私は彼の言葉を聞きながら、静かにケーキをに運んだ。
彼もまた、私と同じように12の呪縛から解放されたのだ。
てつや君は急に姿勢を正し、私をまっすぐに見つめた。
「なつみさん」
彼はポケットからさな茶い封筒を取りして、テーブルのに置いた。
「これ、受け取ってください」
彼は言葉を続けた。
「これは、あのなつみさんが貸してくれた2万円です」
私はし驚いて、彼の顔と封筒を交互に見た。
「貸したんじゃないって、言ったじゃない」
彼の目には、揺るぎない決が宿っていた。
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「分かってます。でも今の俺には、もうこのおに頼らなくてもやっていける自信がつきました」
彼は自分のいを言葉にした。
「姉ちゃんが守ろうとしたなつみさんから、これ以おをもらっておくわけにはいきません。俺は俺のでちゃんときていきますから」
私はテーブルのの封筒をしばらく見つめていた。
彼が自分の力で働き、最初の料からこのおを用したのだ。
ここで受け取らないのは、彼の自の証を否定することになる。
私は静かに頷き、その封筒を受け取った。
「ありがとう。てつや君の気持ち、しっかり受け取るわ」
私が封筒を鞄にしまうと、彼はほっとしたように顔をほころばせた。
「こちらこそ、本当にありがとうございました。なつみさんがいなかったら、俺は今でもあのから1歩もけていなかったといます」
私たちはコーヒーをみ終え、レストランをた。
彼は先で挨拶をした。
「じゃあ俺はも仕事なんで、これで」
彼は力く頷き、駅の反対側へと歩いていった。
「うん。体に気をつけて頑張ってね」
彼の背は、以よりもずっときく頼もしく見えた。
私は駅へは向かわず、し回りをして歩くことにした。
の夕暮れが、町をオレンジに染め始めている。
鞄のに入っている、彼から返された2万円のみをじながら私は歩き続けた。
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このおは誰かの施しではなく、彼が自分のでちがった証だ。
過のしがらみではなく、未来へ向かうための向きなが詰まっている。
私はさおりの残したと、てつや君から返されたこのおを、自分のしいの基盤として切にしていこうとった。
さおりのいと、てつや君の器用な誠実さ。
私は決して1ではない。
たいが吹く、私のは議と温かいで満たされていた。
の窓へってから10ほどが過ぎた。
仕事から帰ると、郵便受けに票が入っていた。
差はあのの宅ローンセンターだった。
翌の夜、再配達で受け取ったのはずっしりとい留の封筒だ。
1にてつや君から届いたあの茶いい封筒を、しだけいす。
しかし今回の封筒はく、事務な印字が綺麗に並んでいるだけだった。
ハサミで封を切り、から分い類の束を取りす。
1番に添えられた案内には、「抵当権抹消登記のお続きについて」とかれている。
そのには、からの委任状や資格証などの見慣れない類がねられていた。
そして1番にあったのは、私たちがマンションを買ったの抵当権設定契約だった。
12以、さおりと緒にの個で署名したあの古い契約だ。
そこには当の私の名と並んで、さおりの名もはっきりと残っている。