"元妻の弟に渡した6万円と12年前の手紙" 第15話
古い昭のりがする内で、温かいコーヒーを注文する。
コーヒーをみ、てつや君が尋ねてきた。
「なつみさん、これからどうするんですか?」
私はカップをテーブルに置き、静かに微笑んだ。
「今まで通りよ。会社にって仕事をして、帰って寝る。何も変わらない。ええ、活自体は何も変わらないわ」
私は言葉を繋いだ。
「でも、からの見え方はし違うかもしれない」
彼がオウム返しにする。
「見え方」
私は頷いた。
「そう。捨てられた記憶を抱えてきるのと、されていた事実をってきるのは全然違うから」
12、私は自分の過を否定し続けてきた。
しかしこれからは違う。
さおりと緒に過ごした。
あのマンションで笑いった々。
それらは全て嘘ではなかったのだと、胸を張って言える。
てつや君は背筋を伸ばし、力く言った。
「俺も頑張ります」
彼の目には確かな志のが宿っていた。
「曜から、リサイクルセンターの仕事が本格に始まります。最初はいだけど、く仕事を覚えて1になりたいです」
あののに見た、俯いて空き缶を拾う彼の姿はもうどこにもない。
私がそう言うと、彼は嬉しそうに頷いた。
「何かあったらいつでも相談してね」
彼は元気よく返事をした。
「はい。ありがとうございます」
私たちはコーヒーをみ終え、をた。
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駅のホームで、てつや君とは反対方向のに乗る。
私は彼に向かってを振った。
「じゃあね、てつや君。体に気をつけて」
彼はドアが閉まるまでくをげていた。
「なつみさんも、今は本当にありがとうございました」
がきし、彼の姿がさくなっていくのを見届けながら、私は座席にく腰をろした。
窓のを流れる景は、すっかり夕暮れに染まっていた。
12のい旅が、ようやく終わったような気がした。
さおりが残したと、てつや君の沈黙。
その全てが今の私を形作っている。
私は自分の胸にを当て、そこにある静かな温もりをじていた。
さおりの墓参りから1が過ぎた。
私の活は、あの言った通り目に見えては何も変わっていなかった。
会社へき、へ帰り、1で事をする。
だが、私のの1のは、12抱えていたそれとは全く違っていた。
私はもう、自分を捨てられた惨めな女だとはっていなかった。
れの空が広がる曜の午。
私はしだけをして、郊にあるリサイクルセンターを訪れていた。
きな敷のには、資源ゴミを分別する巨な倉庫がいくつも並んでいる。
フォークリフトがき交う音と、属がぶつかる音が絶えなく響いていた。
受付で名を告げると、事務所の奥から作業着姿のてつや君がてきた。
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彼は笑顔で私を迎えてくれた。
「なつみさん、いらっしゃい」
1の面は残っているが、顔は格段に良くなり、体つきもしっかりとしている。
私は彼に声をかけた。
「ごめんね。仕事にしだけ顔が見たくて」
彼はタオルで汗を拭いながら言った。
「丈夫です。ちょうど休憩ですから」
彼は私を事務所の横にある休憩スペースへ案内してくれた。
自販売でたいお茶を2本買い、1つを私に差しす。
私が尋ねると、彼はし照れくさそうにを掻いた。
「仕事。どう?」
彼はし誇らしげに言った。
「今、班補佐なんです」
私は本から驚き、声をげた。
「すごいじゃない」
彼は自分の仕事について語った。
「週4のから始めて。今は週5のフルタイムで働かせてもらってます。段ボールや古の分別がメインなんですけど、結構体力勝負で」
彼は自分の膝をポンと叩いた。
「でも膝の負担はないように配慮してもらってるので続けられてます」
あのの、俯きながら空き缶を集めていた彼が、今では輩を指導するになっている。
その事実が、私自のが救われたのと同じくらい嬉しかった。
「本当に良かった。てつや君が頑張ったからよ」
彼は々とをげた。
「なつみさんが背を押してくれたおかげです」
彼は言葉を噛みしめるように言った。
「俺、あの6万円がなかったら、今でもあの端で空き缶を拾ってたといます」