"元妻の弟に渡した6万円と12年前の手紙" 第12話
勝に私のを決めた彼女に対するりは、まだ確実に私のの底に残っている。
真実をったしみと、選択権を奪われたりが入り混じり、自分でもどうしていいかわからない。
話を切った、私は再びテーブルののに線を落とした。
さおりが残した、あの残酷で優しい嘘の数々。
彼女は自分の取り分を全て私の宅ローンに注ぎ込み、私を経済なから守ってくれた。
その方で、てつや君は私から受け取った6万円のうち、必な2万円だけを握りしめて自へのを切りいた。
私たち族のをき来したおは単なる切れではなく、それぞれの器用なの形だったのだ。
私は黄ばんだ封筒をに取り、そっと自分の胸に押し当てた。
さおりの体温など残っているはずもないのに、議としだけが温かくなるのをじた。
週末に着ていくを考えながら、私はクローゼットをけた。
喪を着ていくのは何か違う気がした。
あれは12、私ので彼女がんだに着るべきだっただ。
今の私は葬儀に参列する遺族ではなく、真実をらされた1の独したとして彼女に会いにく。
落ち着いたのスーツを選び、私はそれをハンガーにかけ直した。
このを着て彼女の墓で何を言えばいいのか。
広告
まだ答えはていない。
馬鹿と罵りたい気持ちと、ありがとうと崩れたい気持ちが絶えず私のでせめぎっている。
でも、それが今の私の本当のであり、偽りのない本だった。
週末の曜、駅でてつや君と待ちわせることを約束して、私は窓をけた。
12、私ので止まっていた計の針が、今ようやくしずつきそうとしている。
さおりがいない世界で、私は彼女の嘘と向きう準備を始めなければならなかった。
週末の曜、私は約束通り駅の改札でてつや君を待っていた。
休の駅はがく、待ちわせをする族や友で賑わっている。
しれた柱のから、1の男がこちらへ歩いてくるのが見えた。
てつや君だった。
彼は古めかしいけれど、しのいスーツを着ていた。
あののに着ていただらけの作業着とは、別のようだった。
背筋が伸びていて、取りにも迷いがない。
彼はし緊張した面持ちで、私に向かってくをげた。
「お待たせしました」
私はそう言って、彼のスーツ姿をからまで見つめた。
「ううん。私も今来たところ」
私が微笑むと、彼は照れくさそうにを掻いた。
「サイズ、ぴったりじゃない」
彼は言い訳するように言った。
「古着を何軒も回って探しました。今の俺にはこれが精杯です」
広告
その精杯が、今の彼にとってどれほどきな歩なのか、私には分かる。
私たちが向かうのは、ここからで1ほどれた郊の町だった。
さおりが婚に移りみ、最まで暮らしていた所だ。
切符を買い、2でりのに乗り込んだ。
向かいのボックス席に座ると、窓のの景がゆっくりと流れ始めた。
の揺れにを任せながら、てつや君が静かにをいた。
「姉ちゃんは向こうの駅にあるスーパーで働いてました」
彼は当の様子を話し始めた。
「体調が良いは週に5。レジじゃなくて裏の事務作業です。座ってできる仕事じゃないと体力が持たなかったので」
私は黙って頷き、彼の言葉にを傾けた。
私が尋ねると、彼はい顔で頷いた。
「でも治療費もかかったでしょうし、活は楽じゃなかったはずだよね。私のマンションのローンのために、自分の財産を全部放したんだから」
てつや君は言葉に悔しさを滲ませた。
「はい。だから俺が働くしかなかったんですけど、俺も膝をやってからはまといで」
彼の言葉には自分を責めるような響きが混じっていた。
彼は過をいすように線を落とした。
「本当に苦しい期、活支援の窓に相談へったこともありました」
てつや君は顔をげずに言った。
「でも、姉ちゃんはそこで続きを止めたんです」
役所が親族や元配偶者に援助できないかどうかの確認を取るかもしれないと聞いたからだという。