"元妻の弟に渡した6万円と12年前の手紙" 第10話
「そう」
私の返事は、自分でも驚くほどたく響いた。
彼を責めるつもりはない。
悪いのは、そんな残酷な約束を押し付けたさおりだ。
しかし、その理尽な腹をてる相はもうこの世にいない。
てつや君が消え入るような声で謝った。
「すみません」
12真実を隠し続けたことへの罪悪が、その言に込められていた。
私はできるだけ穏やかな声で言った。
「あなたにってない」
私は言葉を区切った。
「でも、しい」
話の向こうから、さくをすする音が聞こえた。
「はい」
てつや君も泣いているのだ。
彼は声を震わせながら言った。
「姉ちゃん、最まで頑固でした」
彼の言葉に、私はわずさく吹きしてしまった。
「ってる。本当にどうしようもないくらい頑固だった」
涙で界が歪む、私たちは話越しにしだけ笑いった。
それは12といういを経て、初めて2のが交わった瞬だった。
私を捨てた元妻の族。
その壁が、さおりのという事実をにして崩れっていた。
私は気になっていたことを尋ねた。
「なんで今、私にを送ってきたの」
あののまでは、彼は私に接触するつもりなど全くなかったはずだ。
彼はぽつりと答えた。
「6万円です」
私は黙って続きを促した。
「俺、なつみさんに嫌われてるとってました。当然だとってた。
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でも俺があんな格好してても、なつみさんは何も聞かずにを握らせてくれた」
彼の声には、い悔としの堵が入り混じっていた。
「それを見た、姉ちゃんがこのを好きだった理由が、今更わかった気がしました」
その言葉に、また私の目から涙が溢れた。
彼は言葉を選びながらゆっくりと続けた。
「だから俺が黙ってるのはもう違うってったんです」
彼は決を込めて言った。
「んだ姉ちゃんとの約束より、今をきているなつみさんが真実をる方が事だといました」
私はからそう言った。
「ありがとう」
12の誤解を解いてくれた彼に、私は初めて謝の言葉を伝えた。
私がのもうつのことについて触れた。
「4万円、返さなくてよかったのに」
私がそう言うと、彼は慌てたように言葉を返した。
「2万円だけ使わせてください。仕事、探すために」
私はし驚いた。
彼はもう、資源回収の活から抜けそうとしているのだ。
あののの惨めな姿から、彼は自分のでちがろうとしている。
「仕事、探したいの?」
彼ははっきりと答えた。
「できれば。もう姉ちゃんに配かけたくないし」
私はし考えた、決を固めてをいた。
「じゃあ、1つだけ支援先ってる」
それはさおりの代わりに彼を助けるためではない。
私自の志で、目のの彼がき直すための選択だった。
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私はスマートフォンをに当てたまま、てつや君へ説を始めた。
「私の会社が、就労支援団体と取引しているの」
障害を持つや、働く期に空があるたちの就職をサポートする団体だ。
私の会社は、その団体を通じて社内の清掃や備品管理のスタッフを定期に受け入れている。
彼のような事を持つたちが、しずつ社会復帰を目指すための窓になっている。
私は彼にを押した。
「紹介をくわけじゃない。窓の報を渡すだけだからね。採用されるかどうかはてつや君自の努力次第だとって」
てつや君はしの迷いもなく、力く答えた。
「ありがとうございます。俺、やります」
その声には、あののに俯いていたのような卑屈さはなかった。
そこで私は、ずっと気になっていたことを彼に尋ねた。
「どうしてあんな仕事をしてたの?」
彼が健康で働ける齢であることは、12の記憶から分かっている。
さおりがくなるもも、彼には定職に就いて自するがあったはずだ。
てつや君はし言い淀んだ、静かに自分の過を話し始めた。
以は、堅の運送会社で配送の仕事をしていたらしい。
しかし数に交通事故に遭い、膝にきな爆弾を抱えることになった。
運転席に座り、い荷物を階段で運ぶ仕事は続けられなくなったのだという。
さらにその期、彼らの母親が脳梗塞で倒れてい介護が必になった。