"元妻の弟に渡した6万円と12年前の手紙" 第9話
私が真実をらされないまま彼女をんできていくことのさを。
そして、すると共に苦しみを乗り越えるという、私が当然持つべきだった権利を奪ってしまったことを。
「もしもう1度だけ同じをやれるなら、今度はしてないなんて言わない」
さおりのい悔が、面から直接私のに流れ込んでくる。
「怖いって言う。1にしないでって言う。私と緒に選んでくれるって聞く」
そこまで読んだ、私はもう耐えきれなくなった。
「バカ……」
誰もいない部で、私は声をげていた。
私は便箋を胸にく抱きしめ、ダイニングチェアからへ崩れ落ちた。
フローリングのたさが膝に伝わるが、そんなことはどうでも良かった。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、私はに突っ伏した。
「聞いてよ……私に聞いてよ! 勝に決めないでよ!」
12分のりとしみが声になって、部に響き渡る。
私の声に応えるものは誰もいない。
静かな部には、ただ私の泣き叫ぶ声だけが虚しく響いていた。
されていたという真実は、私を救ってくれなかった。
むしろ、していなかったから捨てられたと信じていた12よりも、今の方がずっと苦しかった。
私が彼女をみ軽蔑し、過を封印してきてきた々。
そのも彼女は1で病気と戦い、私をいながらんでいったのだ。
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どうして言ってくれなかったのか。
私が彼女の負担になることを恐れるなら、どうして私のさを信じてくれなかったのか。
私が残ったか、それとも現実のさに耐えきれずれたか。
今となっては本当のところは分からない。
病気の彼女を支え続ける々は、決して綺麗なだけでは済まなかったはずだ。
疲れ果て、み事をぶつけてしまうもあったかもしれない。
でも、それを自分で選びたかった。
彼女と緒に悩み泣き、にはぶつかりいながら、2で結論をしたかった。
その会を最初から奪われたことが、私には1番苦しかった。
どれくらい泣き続けていたかわからない。
フローリングに落ちた涙がたく乾き始めた頃、私はゆっくりと体を起こした。
胸に抱いていたは、私の涙でし折れていた。
私はを丁寧にテーブルのに置き、く息を吐きした。
泣き叫んだところで、過は1ミリとも変わらない。
さおりはもうんでいて、私はこの真実を抱えてきていくしかないのだ。
私はテーブルのにある、てつや君が送ってきた封筒をに取った。
差の欄には名だけで、所はかれていなかった。
しかし、その封筒の裏側の株にさな字で携帯話の番号が記載されているのを見つけた。
てつや君が私からの連絡を待っている証拠だった。
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私は壁掛け計を見た。
夜の9をし回ったところだ。
遅いだが、今かけなければ私はこのを理できない気がした。
私は自分のスマートフォンをに取り、その番号を打ち込んだ。
発信ボタンを押す指が、わずかに震えている。
に当てたスピーカーから、呼びし音が3回鳴った。
「はい」
話はすぐに繋がった。
てつや君のし警戒したような、くぐもった声だった。
私はく息を吸い込み、声をした。
「私」
私がそう言うと、話の向こうでく息をむ音が聞こえた。
「なつみさん……」
それ以、彼は何も言わなかった。
彼もまた、私がを読んでどういう状態にあるのかを察しているのだろう。
お互いに次にかけるべき言葉を探して、沈黙が落ちた。
私は静かに尋ねた。
「さおり、いつ……」
彼はくい沈黙を置いた。
私が1番聞きたくない、でも聞かなければならない現実だった。
「2の、11です」
彼の答えを聞いて、私はゆっくりと目を閉じた。
2の11。
私が仕事できなプロジェクトを任され、忙しく充実した々を送っていた頃だ。
私が自分のをにめていると信じていたその裏で、彼女のは永に止まっていたのだ。
てつや君の声は、どこかくを見ているように静かだった。
「葬式は、族だけで見送りました」
彼が言葉を繋いだ。
「姉ちゃんが、なつみさんには絶対にらせるなって最まで言っていたので」
私は静かに答えた。