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"元妻の弟に渡した6万円と12年前の手紙" 第8話

彼女は本当に1で病気と戦い始めていたのだ。

そしてその記録に添えられていたのは、てつや君がいた別のだった。

「俺はってました」

てつや君の文字は、最初の便箋よりもさらにく、が破れそうなほどの圧でかれていた。

「何度もなつみさんに言えって、姉ちゃんに言いました。でも姉ちゃんは聞かなかった」

私はその文字から、てつや君のい悔と無力を読み取った。

彼もまた、姉の自己犠牲を止めることができず苦しんでいたのだ。

「俺も最は姉ちゃんのを尊して、誰にも言わないと約束しました」

てつや君の痛な告が続いていた。

「だから12、俺はなつみさんに何も言えませんでした。俺も違ってたといます」

てつや君の器用な謝罪の言葉に、私は静かに首を振った。

彼が悪いわけではない。

さおりのすぎる志が、彼から真実を話す権利を奪っていたのだ。

「治療は、何も良くなる期と悪くなる期の繰り返しでした」

てつや君のは、さおりの闘病活について説していた。

「姉ちゃんは仕事も休んだり続けたりしながら、母親を支え俺を叱り、普通のを過ごそうとしていました」

しかし、状況は確実に悪化していった。

「でも数から病状が悪化して、姉ちゃんは仕事を完全に辞めました。

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入退院を繰り返し、2の11、静かに息を引き取りました」

私は再び界が滲むのをじながら、彼の言葉を文字ずつに刻み込んだ。

てつや君は姉の最期を1で見届けたのだ。

彼もまた切な族を失うしみので、私のためにを閉ざし続けてくれた。

そしてそのい事実を胸に抱えたまま、彼は資源回収の仕事をしながらきてきた。

あのの、彼が私から6万円を受け取ることをあんなにく拒んだ理由。

姉が命をかけて守った私の活からおを受け取るわけにはいかないという、彼なりの矜持だったのだ。

私は、古い封筒のにまだ何かいものが入っていることに気がついた。

を入れて取りすと、それは何かのノートをコピーした数枚のだった。

端に付がかれており、さおりの字でい文章がいくつか綴られている。

これは彼女が闘病にき留めていた、数ごとの記のようなものだった。

コピーされた文字の擦れ具が、彼女が何度もそのノートをいていたことを像させた。

私は最初のページの付と文章に目を落とした。

「なつみの誕。話したい。でも声を聞いたら会いたくなるからする」

それは婚から3の付だった。

さらに別のの付には、こんなことがかれていた。

「今、駅でなつみに似たを見た。

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わず追いかけそうになった。バカだな。私、もうのくせに」

私はノートのコピーを両でく握りしめた。

彼女は私のことを忘れてなんかいなかった。

私を突き放しておきながら、彼女自も私を失ったしみのできていたのだ。

「なつみが幸せならそれでいい。私がしたことは違っていたかもしれないけど、悔はしていない」

がりとが入り混じったその言葉たちが、私のを容赦なく揺さぶる。

私は声をすことすらできず、ただ涙だけが止めどなく溢れ続けた。

そして、コピーされた数ページの1番最に、もう1枚だけ便箋があるのを見つけた。

それは記ではなく、私に宛てたさおりの最のの続きだった。

私はコピー用のに隠れていた、最の1枚の便箋をに取った。

さおりの几帳面な字が、し乱れた跡でかれている。

「もし、いつかこのを読むことがあるなら、きっと私はてつやに約束を破ってもらったんだとう」

さおりは、いつかこの秘密がかされる能性に気づいていたのだ。

てつや君が姉への忠誠と私への罪悪ので葛藤し、最は真実を選ぶかもしれないと。

私は震える息を吐きし、線を次のくだりへとめた。

「なつみ、ごめん。あなたを守るつもりで、あなたから選ぶ権利を取った」

その文に、私の肩はきく震えた。

彼女は自分の嘘が、単なる自己犠牲で終わらないことを理解していた。

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