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"元妻の弟に渡した6万円と12年前の手紙" 第7話

そこには、私が12信じ込んでいたもう1つの真実を覆す言葉が待っていた。

私は3枚目の便箋に線を落とした。

ここには、私が直まで考えていた疑問への答えが、はっきりとかれていた。

「婚する、私が族におを使ったと言ったこと」

その1目を見た瞬、私の呼吸は浅くなった。

「あれは嘘です。族には1円も使っていません」

文字を追う私の線が、刻みに震えた。

ではあの数百万にもなる共資産の半分は、体どこへ消えたというのか。

「私の取り分は全て、あなたのマンションの宅ローンの繰りげ返済に入れました」

私は息を止めた。

全の血液が、瞬にして凍りついたような覚に陥った。

12、1でこのマンションに取り残されたの記憶が鮮に蘇る。

さおりがてった翌、からローンの返済予定表が届いた。

残がきく減り、毎の支払い額が私1でも分に払っていける額までがっていたのだ。

当の私は、婚に伴う名義変更の際に融関の特別な調がわれたのだと勝にい込んでいた。

しみとりで精神がすり減り、細かな数字の計算や融の仕組みまで気が回っていなかった。

続きは全てさおりが主導してめていたため、私は言われるがままに類に判を押しただけだった。

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何より、私を裏切ったさおりが、そんな続きを裏でめていたなどと像すらできなかった。

しかし、事実は違ったのだ。

彼女は自分が受け取るべきだった財産を全て、私の居確保のために放していた。

これからい病気の治療が始まり、莫なおが必になることをっていたにも関わらず。

自分の命を削るようにして、私が1できていくためのこの部を守ったのだ。

私はゆっくりと顔をげ、ダイニングテーブルから部のを見回した。

い壁、し傷のついたフローリング、2で選んだカーテン。

私が12、1で守ってきたと自負していたこの穏やかな空。

それは、私の力だけで維持してきたものではなかった。

さおりが私に残してくれた、目に見えない巨なに守られていたのだ。

「どうして……」

掠れた声が、静寂の部に虚しく響いた。

どうしてそこまでして、私に憎まれようとしたのか。

便箋の次の段落には、その理由が残酷なほど率直に綴られていた。

「私が最まで優しくしたら、あなたは絶対に私を忘れられない」

私はの続きを、震える目で追った。

「病気でぬかもしれない。私のことなんか忘れてしいをきてほしい」

そして彼女は、私を突き放すための結論をいた。

「だから、族にを使った最なだとって、ってくれた方がいい」

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私は便箋を握りしめ、力く首を振った。

違う。そんなの絶対に違っている。

彼女は私を自由にするために、自らんで私にく憎まれるを選んだ。

私がこの12抱え続けてきた、されずに捨てられたというい傷。

これは彼女が私の未来を守るためについた、必の嘘の結果だったのだ。

なんという優しさだろう。

そしてなんという残酷さだろう。

彼女の自己犠牲は、私に経済なを与えた方で、に癒えない傷を刻み込んだ。

私は溢れる涙を拭うことも忘れ、さらに便箋の続きを読んだ。

「なつみ、勝なことをしてごめんなさい」

文字の圧が、しくなっていた。

「でも、こうするしか、あなたを諦める方法が分からなかった」

そこで、12の付でかれたさおりのは終わっていた。

私は便箋をテーブルに置き、両で顔を覆って声を殺して泣いた。

自分の命が尽きようとしているに、私をざけることばかり考えていた彼女の孤独。

病気の恐怖と戦いながら、私に憎まれるための嘘をねていた々の苦しみ。

それをうと、胸が張り裂けそうだった。

しばらくして、私はようやく顔をげ、テーブルのに残された別のにを伸ばした。

それはてつや君が同封してきた、古い診療記録のコピーと、もう1枚の便箋だった。

診療記録には、さおりの病名と治療始の付が酷な文字で記録されている。

そこには私が疑う余など、どこにもなかった。

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