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"元妻の弟に渡した6万円と12年前の手紙" 第6話

涙が便箋に落ちないように、私は慌てて顔をげた。

呼吸をして、滲む界のまま続きを読んだ。

「でも、自分が病気で苦しむことより、もっと怖いことがあります」

私は瞬きをして、次の文字を追った。

「それは、なつみが私の病気のために全部を背負うことです」

私は息をんだ。

さおりは自分の命よりも、私の活が壊れることを恐れていたのだ。

「あなたは私が病気だとったら、絶対に残る」

その文で、私の指のきが完全に止まった。

その通りだった。

もしあの、彼女がい病気だとっていれば、私は何があっても婚などしなかった。

仕事を休んでも病院に付き添い、彼女を1にはしなかったはずだ。

さおりは私というを、誰よりもく理解していた。

私が絶対に彼女を見捨てないだとっていたからこそ、彼女は絶望したのだ。

「だから、私はあなたが残らないようにする。嫌われればいいとった」

便箋にかれたその言葉が、私の臓をく突き刺した。

「バカ……」

誰もいない部に、私の震える声が響いた。

がなくなったから私を捨てたわけではなかった。

さおりはくしていたからこそ、自分かられようとしたのだ。

私が病気の妻を抱えて、先の見えない介護と治療費に苦しむことがないように。

私の未来を自由にするために、自ら悪役を引き受けて私を突き放した。

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それが、してないというあの残酷な言葉の正体だった。

12の、最の論の景がをよぎった。

結局私より族なんだね、と婚直、私が投げつけたあのたい言葉。

さおりは答えず、私はさらに彼女を追い詰めた。

「否定もしないんだ」

あのの彼女の沈黙は、私が彼女を嫌いになるのを静かに受け入れていたのだ。

12、私はずっと捨てられた惨めな女としてきてきた。

彼女をむことでしか、1できていくための自分を保てなかった。

しかし、そのみの台そのものが、彼女の優しさで作られた嘘だったのだ。

涙が次々と溢れ、テーブルのにポタポタと落ちていく。

私はの甲で必に涙を拭い、2枚目の便箋へと目を移した。

そこには、さおり自の葛藤が痛々しいほど赤裸々に綴られていた。

「分、これは優しさじゃない。私はあなたのを勝に決めてる」

彼女自も、自分の選択が正しいとは言い切れないでいた。

「本当なら病気のことを話して、残るかどうかあなたに決めてもらうべきなんだとう」

その通りだと、私はので叫んだ。

どうして言ってくれなかったのか。

どうして私に緒に戦うという選択肢を与えてくれなかったのか。

「でも、残ると言われたら、私は甘えてしまう。だから言えない」

そのい2に、彼女のさとさの全てが詰まっていた。

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私に甘えたいという本音を、彼女は必に殺していたのだ。

するに負担をかけたくないといういが、彼女のを完全に塞いでしまった。

私は両で顔を覆い、子供のように声をげて泣いた。

12分のりが、きを失って空へ散していくのをじた。

代わりに押し寄せてきたのは、到底抱えきれないほどのしみと悔だった。

あの、彼女の何もないという言葉を鵜呑みにせず、もっとく踏み込んでいれば。

彼女のさなサインに気づき、引にでも病院へ連れてっていれば。

いくら悔しても、は決して戻らない。

さおりはもう、この世のどこにもいないのだ。

泣きじゃくりながら、私はある1つの矛盾に気がついた。

もし私が彼女の負担にならないようにざけられたのなら、あのおはどうなるのか。

婚する、私たちのには2で貯めた共同預があった。

さおりは自分の取り分について、族に使ったとたく言い放った。

てつや君や母親のために、私たちの将来の資を使い込んだのだと私は信じた。

それが決定打となり、私は彼女へのをりで塗りつぶすことができたのだ。

しかし、彼女が私を自由にするために嘘をついていたのなら。

あの共同預の話も、私をらせるための嘘だったということになるのではないか。

私は腫れた目を擦り、次の便箋を引き寄せた。

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