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"元妻の弟に渡した6万円と12年前の手紙" 第2話

丈夫じゃないほど、さおりは丈夫と言って私から距を置こうとした。

その器用な癖を、目のの弟も同じように持っていた。

私は持っていた傘を肩に預け、バックのから財布を取りした。

料の直で、活費や引き落としのために現をめにろしたばかりだった。

財布のには数枚の幣が入っている。

私は迷うことなく、1万円札を6枚引き抜いた。

なぜそんなことをしたのか、自分でもよくわからない。

ただ、昔の族がので震えているのを、そのまま見過ごすことはできなかった。

私は6万円を束ねて、てつや君のに差しした。

彼は目を見き、信じられないものを見るように私の元を見つめた。

彼は慌てて首を振った。

「無理です」

私は束ねた幣をさらに彼へづけた。

「受け取って」

彼の声は震えていた。

「無理ですよ」

のたさからなのか、それ以のからなのかはわからない。

彼が初めて過のことに触れた。

「12、俺、なつみさんに嫌われてたし……」

自分が私からどうわれていたか、彼なりに理解していたのだろう。

確かに私は彼が苦だったし、さおりを奪った族の部としてんでもいた。

けれど、今の彼に向かって過の憎しみをぶつける気にはなれない。

私はしだけい調で言った。

「今、その話してない」

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私はてつや君のに汚れたを取り、無理やり現を渡した。

彼は何かを言いかけたが、私はそれを遮るように続けた。

「貸すんじゃない。さおりの代わりでもない」

私の言葉に、彼は息をんだ。

私は彼の目を見据えて言った。

「今、ここであなたを見たから。それだけ」

てつや君は何も言えなくなった。

握らせた6万円を、彼はただ震えるで見つめている。

がしくなり、アスファルトを叩く音がきくなった。

たいが私の頬を伝って落ちた。

これ以、ここで言葉を交わす必はない。

私は連絡先を聞くことも、教えることもしなかった。

過は過のままでいい。

偶然再会した昔の族に、ほんのしだけを差し伸べた。

それだけで分だった。

私は背を向けながら、彼に声をかけた。

「邪引かないようにね」

最にそう言い残して、私はきびすを返した。

背で台がわずかにく音がしたが、私は振り返らなかった。

の匂いと暗い端のたい空気だけが残されていた。

自分のマンションに戻ると、部はいつも通り静まり返っていた。

玄関の気をつけると、1暮らしには分すぎる広さの空が浮かびがる。

靴箱のには、私個の郵便物だけが乱雑に置かれている。

12、さおりがてった、私はこのマンションを1で守り続けてきた。

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2でを支払い、緒に選んだ具を並べた所だ。

リビングのソファも、ダイニングテーブルも、2で使うために買ったものだった。

私は濡れたコートをハンガーにかけながら、部の奥を見つめた。

彼女の荷物がなくなったクローゼットの隙を見るたびに、私は自分の選択を悔したり彼女をんだりした。

緒に暮らしたでの楽しい々さえも、最は全て嘘だったようにえた。

宅ローンは私1で払い続けることになったが、続きが終わってみると、像していたよりも毎の返済額は軽くなっていた。

当は融関の調か何かの結果だとい込み、く考える余裕すら私にはなかった。

ただ、1できていくための最限の基盤だけは残されたのだと、自分を無理やり納得させていた。

そんな苦しい期を乗り越えて、ようやくに入れた穏やかな活だった。

それを今更、の介入によって乱されたくはなかった。

シャワーを浴びてえた体を温めながら、私は先ほどの来事を反省していた。

どうして彼はあんな活をしているのだろうか。

母親の介護で仕事を辞めたのか、それとも何かきなトラブルがあったのか。

像はいくらでもできたが、答えがることはない。

さおりは今頃、別の所でしい族と幸せに暮らしているのだろうか。

それとも、弟の窮状をりながら何もできない事があるのだろうか。

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