"青い痣と一冊の手帳" 第12話
母さん、で抱え込まなくていいんだからね』
画面に並んだ文字を見つめるうちに、私の目から涙がポロポロと零れ落ちた。 反抗期の真っ只で、普段は素っ気ない態度ばかり取っている息子が、誰よりも私の痛みに寄り添い、守ろうとしてくれていたのだ。
分ほどして、がさなビニール袋を提げて帰宅した。 「……はい」 は私と目をわせないまま、本の温かいペットボトルを私ののに押し込んできた。 午の茶――温かいミルクティーだった。 私が番好きなみ物を、息子はちゃんと覚えていてくれたのだ。
「……お疲れ様」 それだけく呟くと、は照れ隠しのようにに自分の部へ戻っていった。 居のソファでテレビを見ていたが、それを見て嘲笑混じりに声を張りげる。 「ほーら見ろ! おがグジグジしてるから、息子にまでを尽かされて見たくもないって逃げられたんだよ!」
のその醜悪な顔を見つめながら、私はので静かにった。 (このとの共通点なんて、性別が同じ男だということくらいだわ……) 温かいペットボトルのぬくもりを両で包み込みながら、私はミルクティーをんだ。優しい甘さが、え切った体にじんわりと染み渡っていく。 (の優しさの、せめて百分のでもこのにあれば……) そんな叶わぬ願いを抱きながら、私は再び台所にち、料理の続きを始めたのだった。
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あの曜から数が過ぎた、抜けるような青空が広がる穏やかな朝のことだった。 気候は穏やかでかかったが、私の体調は朝から最悪だった。の夜から腹部に鈍い違があり、朝起きるとそれが苦しい痛みに変わっていたのだ。 (おかしいわね……昨、何か傷んだものでもべたかしら……)
そういながら、私は朝の支度を始めるためにい体を引きずって台所へ向かった。 蔵庫のにち、ドアノブにをかけた――その瞬だった。
「う……っ、ぐあぁぁっ……!」
突如として、内臓を鋭利な刃物で抉り取られるような、今までに経験したことのない超弩級の激痛が腹部を貫いた。 界が真っ暗になり、っていられずにそのに崩れ落ちる。蔵庫のたい扉に額を押し当て、荒い息を吐きながら痛みが引くのを待った。だが、痛みは引くどころか、臓の鼓と完全に同期してドクンドクンと激しさを増していく。
や汗が全から吹きし、識が混濁し始めた。 まだ朝。族は誰も起きてこない帯だ。助けを呼ぼうにも、スマートフォンは数メートルれた卓テーブルのに置きっぱなしだった。 私はに爪をて、いつくばるようにしてテーブルを目指した。だが、わずかメートルんだところで、腹部に激しい痙攣がり、完全に体がかなくなってしまった。
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呼吸をするだけで激痛がり、界がく霞んでいく。
(だめ……このままじゃ、識が……)
そう絶望しかけた瞬、くから音が響いた。
「――母さん!? 母さん、丈夫か!?」
の声だった。 たい瞼を懸命に持ちげると、寝巻き姿のが青ざめた顔で私のそばに駆け寄ってくるのがぼんやりと見えた。は私の肩を抱き起こそうとしながら、必に呼びかけてくる。 「どうしたの母さん!? どこが痛いの!?」 「ご、めん…………急に、お腹が……」 途切れ途切れにそれだけ答えるのが限界だった。息をするのすら苦しい。
は私の異様な状態を察し、即座にちがった。 「救急呼ぶ! 今呼ぶから!」 そう言ってズボンのポケットを探ったが、スマートフォンが入っていない。 「クソッ、部に置いてきた……!」 焦りをわにするの姿を見ながら、私は申し訳なさで胸が張り裂けそうだった。この事な期の息子に、またしてもこんな配をかけてしまっている。
そこへ、騒ぎを聞きつけたがノロノロと起きてきた。 キッチンでに倒れ伏す私の姿と、慌てふためく息子の様子を瞥したは、番、鳴り声をげた。
「おい! 朝っぱらから何やってんだ、おらは! うるさくて目が覚めただろうが!」
でのたうち回る妻の姿を見ても、男のから最初にてくるのは自の眠を邪魔されたことへのりだった。