みかん小説
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"青い痣と一冊の手帳" 第9話

だが、はサッと骨にそのを払い除け、え切った声で言い放った。 「……いや、別にそうでもないし」 それだけ言うと、義母に背を向けてに部へ戻ってしまった。執拗に接触を図ろうとする祖母のが、息子の肌にはなレベルで受け付けないようだった。

それでも義母の妄執はお構いなしだった。 「シャイなんだから、もう!」とで納得している。 だが、私には言いたいことがほどあった。には、半分は私の遺伝子だって入っているのだ。私が幼い頃から勉を見守り、々の健康を管理し、塾の送迎をこなしてきたからこその結果でもある。 しかし、義母はにその事実を完全に無していた。それどころか、 「やっぱり私の血を引いてるから派なのよ。……もっとも、私が最初から育てていれば、もっと派な学を狙える子に育ったんでしょうけどねぇ」 と、聞こえよがしに嫌を呟く始末だった。

「……すみません、私の育て方が至らなくて」 私は波てないよう、にもない謝罪を先だけで返した。 夫のがそこで私を庇ってくれるはずもなかった。はソファで横になりながら、 「まったく、母さんの言う通りだよ。ごめんな、母さん。こんな来損ないの嫁をもらっちまって」 と、私を酷な目で睨みつけながら義母に同調した。

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来損ないの嫁と無理やり結婚したのは、あなたの方でしょうに……!) 喉元までかかったりの叫びを、私は奥歯を噛み締めて必み込んだ。背の嘲笑を受けながら、たい器を洗い続ける。も義母も、私の事も、料理も、育児も、格のすべてが気に入らないのだ。 「あんたの嫁は、女としての気配りも能力も何につけてないみたいだねぇ」 義母がを鳴らしながら嘲る。

このにいるだけで、息が詰まり、精神がすり減っていくのが分かった。 限界をじた私は、ある夜、に真剣に相談を持ちかけたことがあった。 「ねえ、ももうすぐを卒業するし、私もまた以のように会計事務所で働きたいの。しでも計のしにしたいし、社会にて働きたいのよ」 だが、は眉を吊りげて猛反対した。 「ふざけるな! 女がて働くなんて、俺の稼ぎがないみたいで恥ずかしいだろうが! おで母さんの世話と事だけやってればいいんだよ!」

は世体ばかりを気にし、私がの世界と繋がることを極端に嫌がった。そうして私は、専業主婦という名の檻のに完全に縛り付けられてしまったのだ。 さらに言えば、私たちがこれほどまでに決定戦状態に陥った背景には、もうつ決定来事があった。

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堅専商社の営業部に昇した頃のことだ。 が自宅に持ち帰ってきた会社の決算や関連類を偶然目にした際、元会計士である私の目は、帳簿の自然な数字のきを見逃さなかった。特定の取引先との架空取引、あるいはリベートを隠蔽するためのな使途――らかな経理の正処理の兆候だった。 「ねえ、この取引先の数字、辻褄がわないわよ。これ、監査が入ったら変なことになるんじゃないの?」 妻としての純粋な配から指摘したつもりだった。だが、の反応は凄まじかった。 「黙れ! 素の分際でったようなを利くな! 俺の仕事にケチをつける気か!」

顔を真っ赤にして鳴り散らし、類をひったくったの目は、らかに揺とろめたさに泳いでいた。 あの事件以来、は私に対して確な敵と警戒を抱くようになり、私のそのものを疎ましくうようになったのだ。 仕事をすることも許されず、庭のでは孤し、義母と夫の理尽な求に応え続ける々。私の精神と肉体は、確実に限界へと向かってすり減っていた。

そんな獄のような々ので、唯の救いとなったのは、ならぬ息子のだった。

あるの夕方、義母からの言に耐え、へとへとになって台所にっていたのことだ。

が無言でリビングに入ってくると、シンクに溜まっていたたいフライパンや器に黙ってを伸ばし、洗い始めてくれたのだ。

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