"青い痣と一冊の手帳" 第7話
かつて結婚を反対されたに見せられた、あの自己で攻撃な本性が、完全に蘇ってしまったのだ。
「美咲さん! ちょっと、美咲さん!」
あるの午、私が台所で夕のごしらえをしていると、廊から義母の甲い声が響いてきた。慌ててを拭き、居へと向かう。
「はい、お母さん、何でしょうか?」 「何でしょうか、じゃないわよ! 私が頼んでおいた例の級苔、買ってきてくれたのかい?」 「あ……申し訳ありません。今は買いしの予定がなかったので、スーパーと百貨にく際についでに買ってきますとお伝えしたはずですが……」 「はあぁぁぁ……」
義母はこれ見よがしに、肺のの空気をすべて吐きすかのような盛なため息をついた。そして、酷な目で私をねめつける。
「嫁の分際で、姑に答えかい? 頼まれたものをそののうちに調達してくるのが、にいる専業主婦の務めでしょうに。まったく、気が利かない嫁をもらうと息子が苦労するわ」
吐き捨てると、義母はリモコンを乱暴に操作してテレビの音量をげた。 このような理尽な難癖は、常茶飯事となっていった。私が階で掃除をかけていようが、呂掃除をしていようが、義母はいついた瞬に声でに響き渡る声で私を呼びつける。何事かと息を切らして駆けつけると、返ってくるのは底どうでもいい用件ばかりだった。
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「ちょっと美咲さん、私のお気に入りののブラウスはどこへやったの?」 「そちらのクローゼットの端にかけてありますよ。シワにならないように、専用のハンガーにかけておきました」 「……ふん、そう」
礼を言うどころか、確認もせずにテレビへ線を戻す。ただ「今なんとなくいしたから」という理由だけで、事のを止めさせて呼びつけるのだ。 私が再び階へがろうと階段にをかけた瞬、またしても背から声がぶ。
「美咲さん! ちょっと!」 「……はい、何でしょう?」 「テレビのリモコンがテーブルの向こうにあってが届かないのよ。取っておくれ」
義母の元から、リモコンまではわずかセンチほどしかれていない。自分がほんのし腰を浮かせれば届く距だ。 (ここまでかない活をしていたら、将来絶対に寝たきりになるわよ……) ので毒づきながらも、私は黙ってリモコンをに取り、義母の元に置く。
「はい、どうぞ」 「ああ、そこ置いといて」
義母はリモコンを受け取ると、もう用済みだと言わんばかりに私から線を逸らした。 謝の言葉など、爪の先ほどもない。やってもらって当然、自分は尽くされて当たりのなのだと、ふんぞり返っている。 その傲で横柄な態度は、驚くほど夫のと瓜つだった。血は争えないとはこのことだ。
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夕方、仕事から帰宅したもまた、義母と全く同じように私を顎で使い始めた。 スーツの着をソファに放りし、ネクタイを緩めながら鳴る。
「おい、美咲! 今朝の聞はどこった?」 「聞なら、リビングのストッカーのに畳んで入れてありますけど」 「チッ、だからさぁ、どこにあるか聞いてるんじゃなくて、取って持ってこいって言ってんだよ! 気が利かねえな!」
苛ちを隠そうともしないの罵声に、私は胃の奥がくなるのをじながら、ストッカーから聞を取りして渡した。 パラパラとして真剣に読みもしないページを捲るを見つめながら、私は虚しさを覚える。聞をストッカーからすことも、読み終わったに片付けることも、すべて自分でやれば数秒で済むことだ。こので聞を隅々まで読むのはだけなのだから。
「……何だよ、ジロジロ見やがって。文句あんのか?」 「……いいえ、別に」
言でも謝の言葉がるかとい、無駄な期待をしてしまった自分が惨めだった。 これなら、まだ数はなくても余計な求をしてこない反抗期のの方が何倍もマシだった。息子の淡さは、この父親と祖母の傲な姿を反面教師として育った結果なのかもしれないとすらえてくる。とも、私をのではなく、都のいい無賃労働の政婦か奴隷のように扱っているのだ。