"青い痣と一冊の手帳" 第6話
私とはの紹介でりったのだが、交際をく迫ってきたのはの方だった。『君を幸せにできるのは俺しかいない』とまで烈に説かれ、押し切られる形で承諾した結婚だった。だが、義実の敷居を跨いだ瞬から、義母が私を激しく敵していることはだった。
は私と別れる気はないと主張したが、義母の頑なな反対を崩すことはできなかった。あの、に入って義母を厳しく諌め、私たちの背を押してくれたのが、くなった義父だったのだ。 義父の押しがなければ、この結婚は成していなかった。それほどまでに義母の気性の荒さと執着は凄まじく、私にとって義母は「なるべく関わりたくない、恐ろしく気のい」という認識で固定されていた。 だからこそ、これまでの結婚活においても、必最限の接触に留めるよう距を置いてきたのだ。
しかし、目ので子どものように涙を流し、息子の言葉にすがりついてんでいる義母を見ていると、私の認識もし揺らいだ。 (義父のは、それほどまでにこのを打ちのめしてしまったのね……) 伴侶を失った孤独が、をこれほどまでに変えてしまうのか。そう同する気持ちが芽えた私は、嫁としての建をにした。
「私も、お母さんが緒に暮らしてくれたらいですし、嬉しいです」
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すると、その瞬――。 私のすぐ隣で段ボールを持っていたが、私の元でややかな、だが鋭い囁き声を落とした。
「……絶対ウソじゃん」
私は臓がねがるのをじ、反射にの脇腹を肘で突いた。 「余計なこと言わないの!」 唇をほとんどかさずに、い囁き声で息子を窘める。 私だって、本から放しで同居をんでいるわけではない。だが、ここで波をてて角をてるわけにはいかないのだ。にはの付きいというものがある。
こうして、義母との同居が決まった。 同居に向け、がの片付けと受け入れ準備が始まった。階にある空き部を義母の居にすることになり、私は何もかけて徹底に掃除をし、溜め込んでいた用品を処分していった。 押入れの奥を理していると、埃をかぶった段ボール箱のから、がまださかった頃に作ってくれた母ののプレゼントの数々がてきた。画用にクレヨンで描かれた私の似顔絵、「おかあさん、いつもありがとう」と拙いひらがなでかれた、粘で作られた歪なペンて。
それらをにとった瞬、私のは自然と止まってしまった。 胸がじんわりと温かくなるのと同に、ふと義母の気持ちがしだけ理解できたような気がしたのだ。 (母親にとって、息子というのは何歳になっても、あのさくて無条件に自分を慕ってくれた頃のままに見えてしまうものなのかもしれない……) 義母がを異常なまでにがり、執着する理由が、ほんのしだけ腑に落ちた気がした。
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私はのいの品々を捨てることなど到底できず、さな綺麗な箱に丁寧に詰め直して、自分のクローゼットの奥に切に保管した。
それから数週をかけ、義実の理と引き払いをめ、義母の荷物ががへと運び込まれた。 トラックからの搬入が終わり、居に落ち着いた義母は、お茶を差しす私に向かって神妙な面持ちでをげた。
「美咲さん、これから本当にお世話になります。よろしくね」 「はい、こちらこそ。至らない部分も々あるかといますが、どうぞよろしくお願いいたします」
丁寧にをげい、穏やかな笑顔を交わす。 (この調子の義母なら、昔のことはに流して、なんとかうまくやっていけるかもしれない――) 私は胸を撫でろし、これからのしい同居活に微かな希望を抱いていた。
だが、そんな淡い期待は、わずか数週で見事に打ち砕かれることとなった。
同居が始まって最初のひとほどは、義母も慮があったのか、比較おとなしく過ごしていた。 しかし、がの活リズムに慣れ、自分のテリトリーとしてのを得るにつれて、その態度はを追うごとに横暴で傲なものへと変貌していった。