"義母の古希に愛人を連れてきた夫と5000万円の借金" 第20話
その景は、タカシの貧相な像力を遥かに超えていた。
「なあ母さん、嘘だろう。冗談だと言ってくれよ」
彼は狂ったように首を振り、義母にすがりつこうとする。
「母さんはただの古臭い茶の先じゃないのか」
タカシは自分のを掻きむしり、現実逃避の言葉を吐き続ける。
「なんでこんな恐ろしいが、母さんにをげてるんだよ。おかしいじゃないか」
彼は部の隅を見渡し、助けを求めるように線を泳がせた。
「こんなの現実じゃない」
タカシは現実を拒絶するように首を激しく振り、血った目で辺りを見回した。
しかし目のに広がる景は、残酷なまでに現実だった。
静まり返った級料亭の個には、ボスの荒い息と、タカシのガタガタと震える膝が畳を叩く音だけが空気に響いている。
そんなタカシの混乱を嘲笑うかのように、ボスはゆっくりと彼を見ろした。
「おい、そこの無能」
ボスの酷な声が、タカシのを打つ。
「おは自分の母親が誰なのか、これっぽっちも分かっていなかったようだな」
ボスはタカシをで突くようにして言う。
「奥様はな、俺たちのような者がかかっても元に及ばない、この国の裏も表もり尽くした御仁だ」
ボスはタカシの顔を覗き込み、蔑みの表を浮かべる。
「おのような恩らずの来損ないを息子に持ったことだけが、奥様の唯の汚点と言ってもいいだろうな」
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ボスの言葉は、タカシのプライドを完膚なきまでに叩き潰した。
エリート気取りでふんぞり返っていた彼が、実は最も尊敬され恐れられるべき物を番くにいながら蔑んでいたのだ。
方、平打ちをらってに転がっていたユリもまた、狂乱の渦にいた。
真っ赤に腫れがった頬を片で押さえ、乱れた髪のから信じられないものを見るような目でボスを凝している。
「嘘よ、そんなの嘘」
ユリはいずるようにしてボスにづき、叫び声をげる。
「ボス、どうしちゃったの?私、ボスの赤ちゃんを産むのよ」
彼女は自分のきなお腹を両で包み込む。
「私たちのの結晶じゃない」
ユリは義母を指差し、顔を歪めて鳴った。
「なんであんな枯れみたいなばあさんにペコペコしてるのよ」
彼女はボスの脚にしがみつき、必に訴える。
「さっさとちがって、あいつらを黙らせなさいよ」
ユリはタカシの財産目当ての計画を、声で暴し始める。
「私たちがこのの財産を乗っ取って、園寺の女からをむしり取って贅沢昧する計画だったじゃない」
ユリはなりふり構わず叫んだ。
彼女にとってボスの圧倒な暴力こそが世界の全てであり、唯の頼みの綱だったのだ。
それが崩れることを、認めるわけにはいかなかった。
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だがボスは、その言葉を聞いた瞬凍りつくような笑を浮かべた。
「の結晶だと?笑わせるな、この汚い売女が」
ボスの言葉に、ユリのきがピタリと止まる。
「貴様のような尻軽な女に、俺の跡取りを産ませるわけがないだろう」
ボスはユリを汚物でも見るような目で睨みつける。
「最初から貴様は、この馬鹿な男を釣るためのただの使い捨ての餌だったんだよ」
ボスはユリの顔に顔をづけ、い声で脅しをかける。
「だがまさか、貴様がここまでが悪いとはわなかった」
彼はユリを突き放し、酷に言い放つ。
「奥様のご族にまでを剥くとは、飼い犬としても失格だ」
ボスの酷な宣告に、ユリは「あ、あああ」と力なく声を漏らしそのまま崩れ落ちた。
自分がボスの寵を受けている特別な女だという妄は、瞬にして々に砕け散った。
彼女もまたただの具として利用され、そして今無残に切り捨てられようとしていることにようやく気づいたのだ。
私はそんなの無残な姿を、言も発さずにじっと見つめていた。
5、私はこの男に尽くしてきた。
彼のがままに耐え、侮辱を受け流し、いつか分かりえるが来ると信じて園寺の令嬢という分を隠してまで添い遂げようとした。
しかし、目ので醜くわめき散らすこの男に私が捧げたは、あまりにも無価値だった。